第174話
現状、マリカを含めた予備役、退役組の中から「生贄」が選ばれる筈が、評議院の「意図」した介入で、エレノアに頼らざるを得ない状況に至った。
評議院の「真」の狙いが「それ」であるかの様に。
複雑に絡み合った先にある真相はなにか……。
真相を知っているのか、そうでないのか……エレノアは己の全てを捧げ続けている……。
そこに派手な演出や効果音などない……ただ粛々と自らの能力を行使し、ス一パ一ダ一クエネルギ一を異空間へ吸い込んでゆく……。
そして、エレノア自身にも能力の「因果」は襲う。
それを知るリンスロットの瞳は、うっすらと濡れる。
ス一パ一ダ一クエネルギ一と魔法少女の対消滅……これが人類が生き延びる道……モード・ウィッチの真実である……。
断末魔を奏でるス一パ一ダ一クエネルギ一に、脅威はもうない……あらかた異空間に吸い込まれたこの時点で、エレノアの勝利は確定した。
こんな容易に……勝利の風景は淡白……。
淡白故に真相は恐ろしく……残酷である。
人類の脅威……魔法少女達を死の淵に追いやったス一パ一ダ一クエネルギ一は「いとも簡単」に消えた……。
全てが終わり、異空間が閉じようとしている……。
「御姉様……」
悲しくリンスロットは呟いた……この先、どうなるかを知っているがの故の悲しみ……。
リンスロット同様、ス一パ一ダ一クエネルギ一が消滅したというのに俯き、押し黙る魔法少女達。
彼女らにはなにもできない……自分の魔法スキルを駆使しても、エレノアを救う事は不可能なのだ……その悔しさ、脅威が去った安堵、エレノアの「不遇」な歩みと行く末……絡み合う要素が心を支配し、その他の感情が表面化しない……。
その一切を、りおんは知らない……。
自身の母が辿った道を、エレノアによって示されたりおん……。
「お母さん……」
エレノアを見つめ、りおんの魂が紡ぐ。
「これでおわかりになりましたか、りおん……あなたの御母様もこうして御姉様や魔法少女達、世界を救い……そして……」
意図的にリンスロットは言葉を切った……。
語らずとも「代償」は既にエレノアを襲い始める。
その流麗で羨む躰は、白く輝きを放ち始める……エレノアの佇まいと相まって美しい光景だが、彼女が消滅する工程のひとつに過ぎない。
「はっ…………」
りおんの介抱を解き、たまらずリンスロットがエレノアに近づこうとする……しかし皮肉にも、エレノアが施した魔法防壁が妹を阻む……。
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