第162話
「わたしが隣にいて……なんかごめんね……」
「いいですわよ……これも悪くはありませんわ……共に戦ってきたクラスメイト、エリザベスさん、シフォンさん……テキサスの田舎娘……ドロシーにひばり……りおん……そして、わたくしを支えてくださったアンテロッティ、ローグ、コステリッツ……みんなと一緒に死ねるなら……わたくしは……」
それ以上の言葉を呑み込み、達観論を締めくくったリンスロット……。
「ですが……最後のあがきは、させて頂きますわ……」
「おぉ、それでこそリンス……じゃあ、わたしも」
さようなら……魔法少女……。
さようなら……人間……。
輝きを増すス一パ一ダ一クエネルギ一の意志。
ぎゅっとステッキさんを握るりおん。
「ステッキさんっ……」
「わかっている……りおん……りおんのポーターも悪くなかったぞ……」
「最後までキザだねぇ、ステッキさん……」
「まぁな……」
「それじゃぁ、防御シールドウルトラ最大限界超絶出力で展開っ……」
「うむっ……りおん……」
「シルフィ、わたくし達も防御シールド限界出力で展開……」
「わかりました……」
「シルフィ……わたくしに付き従って……感謝しますわ……」
「当然です……さぁ、共に参りましょう……」
ふたりと、ふたりの意志に呼応し、ス一パ一ダ一クエネルギ一から「絶望」の光がりおん達に向かう。
「リ、リンス……これはチートだよ……わたし達のシールドは役に立たないね……痛いっていうか、一瞬で消滅しちゃうよ、わたし達……はははっ……」
「ですわね……」
絶望の光を見つめ、ふたりの手は互いを探り合い、触れ、握る……。
いとも簡単にふたりのシールドは破壊され、伝わる熱で、りおんの眼鏡のフレームが歪む。
「さよなら……私の人生……」
死を受け入れたりおんとリンスロット……しかし突然、目の前に煌びやかな、しかしどうとも形容し難い、優しく美しい光景が広がる……。
「これが走馬灯ってやつかぁ……神様も最後に粋なものを魅せるねぇ……」
人として、魔法少女として、女として、短い時間を生きてきた故の見えざる者による「御褒美」か。
「ふふっ……」
全てが「自然体」になったりおんは、リンスロットの手を更に強く握る……同様な反応がリンスロットからも伝わり、ふたりは「素直」に「死」を受け入れた……。
「あれっ……あれれっ……」
痛くも、熱くもない……。
変わらない煌びやかな世界……。
「そうか……わたし、死んじゃったのか……」
死後の世界……今、ここに広がる景色がそうなのだと感心、納得するりおん……。
「みんなは……ステッキさんは……」
「りおん……」
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