第802話 ヘルパーの誇り

 おかえりなさい♡


 今日で7月も終わりですね。パリオリンピックは盛り上がっているようですが、僕はネットのニュースを見るくらいで、全然見ていません。


 以前移動支援のYさんに、「今年オリンピックがありますよね」と聞いたところ、

「違います来年です」とハッキリと言われYさんはオリンピックに興味が無いのだと思いました。オリンピックの話題で盛り上がれる人が身近にいれば、少しはテレビでなど見るかもしれないと思っています。


 お話は今週の月曜日の家事支援で、ヘルパーのIさんが支援に入ってくれた時の出来事です。支援センターの瀬川さんが頑張って僕の部屋を綺麗にお掃除をしてくれた事が原因です。


 片付いている場所を指差し「凄い、誰が片付けたのですか?」と聞くので、瀬川さんがやってくれた事を話しました。するとIさんはこんな事を言いました。「瀬川さんは、今入っているヘルパーは使えないヘルパーだなとか言っていませんでしたか?」と聞くので僕は「ヘルパーの話なんて出ませんでしたよ」と言いました。


 僕はここでIさんのヘルパーとしての誇りが傷ついたのだと思いました。


 Iさんは少しムキになって「私が片付けるので言って下さい」と言いました。僕もお掃除が苦手なのでIさんに言うのはできない事を伝えました。


 Iさんの話ですと他の利用者さんは部屋にある物を勝手に移動すると、物が無くなったと大騒ぎになる事が多くて怖くて触れないのだそうです。


 僕が思うには、Iさんと瀬川さんの違いは使わない物は「捨てる」事だと思います。Iさんはある物を整理整頓して雑巾で水拭きをしてくれます。一方瀬川さんは、僕にいるのかいらないのか聞きながらどんどん捨てていくのです。なのでいらない物が無くなり部屋がスッキリするのです。


 この捨てると言う事ができなければ、いつまでも部屋は片付けられないでしょう。Iさんは、「次の瀬川さんの面談までには、部屋を綺麗にしなきゃね」と言っていました。


 ちなみに家事支援では大掃除は禁止されています。あと換気扇のお掃除とエアコンのフィルターのお掃除は別途支払いが請求されます。いろいろな制約がある中で家事支援をしてもらっています。


 Iさんは「普通相談員はお掃除なんてやりませんよ。瀬川さんて神経質なんですかね?」と聞くので「神経質と言うより、とても気が利く人です」と答えました。


 瀬川さんは僕がいちいち言わなくても、率先して何でもやってくれるので、僕の貴重な存在なのです。今週の金曜日から、Iさんの付き添いで温水プールがあるので仲良くしたいですね。


 今日も最後までありがとうございました。

 お話しはここまでです。


 どうかIさんの誇りを傷つけませんように……


 いってらっしゃい♡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る