第276話 1時間の重み
おかえりなさい♡
今日はメッキ工場の仕事でした。
採用されてから、もう3カ月経とうとしています。朝の通勤ラッシュにも慣れてきました。メッキを磨く仕事は単調ですが少しコツを覚えてきました。課長以外の人とはほとんどお話をする機会がありません。
勤務時間も朝9時からお昼の12時までなのであっという間に過ぎていきます。
勤務時間を増やしたい僕は、仕事が終わってから就労支援センター「白いうさぎ」(仮名)の担当者に会う約束をしました。
仕事をしながら課長と少し話をしました。メッキ工場からは勤務時間を増やす事の了承を得ています。
問題は僕が日常の変化についていけるかなのです。
僕が体調を崩して辞めるようになれば、今までの苦労が水の泡になります。課長からは慎重に行きましょうと言われました。
お昼になりお弁当を食べないで川崎駅近辺にある「白いうさぎ」(仮名)の事務所に向かいました。
13時に事務所に着き、担当者と話をしました。僕のメッキ工場からの評判は良く、長く働いて欲しいと言われている様でした。僕は簡単に勤務時間を増やせると考えていました。
僕の考えに担当者は首を横に振るのでした。
僕の考えが甘い事に気づかされるのでした。
♦♦♦♦
1時間の重み。
白いうさぎの担当者から「ペースが早すぎる」と指摘されました。
元々、週2日でやった方が良いと言われていたのを、週3日に無理を言って組んでもらったのです。
僕は2択を迫られました。1日1時間増やすか、通勤日を1日増やすか。どちらも週に3時間増やす計算になります。
答えが出ません。
勤務日数を増やすとタンポポに行くのが厳しくなります。
担当者は言いました。「タンポポの事は考えないでいいです。どうすればメッキ工場でやっていけるのか考えましょう。」
到着地点は決まっているのです。
扶養控除ギリギリまで仕事をする事です。メッキ工場の課長の話だと週4日、9時から16時までの勤務でその金額になるそうです。
僕は考えました。
通勤日を月、火、木、金にして、水、土、日を休みにすれば出来るのではないかと。そうなれば自然とタンポポは卒業と言う事になります。明日からでもこのシフトでやりたい気持ちを抑えます。担当者はそんな僕の甘い考えを見抜きました。
「龍神さん。時間を増やして無理な様なら我慢しないで元の時間に戻して下さいね。行けなくなるのが1番駄目なので。」
おやっ?と思いました。
以前に1度時間を増やしたら元に戻せなくなると聞いていたので。それだけ僕に信用が出来たのかなと感じました。
問題は次のステップです。1日1時間どうやっていこうか。まだ答えは出ません。焦る必要は無いのに、心はドキドキします。
「誰かの役に立ちたい」
生きるってそういうモノでしょう。どうするのかゆっくりと考えましょう。僕の人生なのですから、自由にしたいですね。
1時間ほど担当者とお話をして事務所を後にしました。明日もメッキ工場の仕事です。
クリニックの十文字さんの言葉を思い出しました。「人間70歳越えたら嫌でも引きこもりになるからね。体の動くうちに何でも楽しんで取り組もうよ。」
その通りです。生きる事を楽しみましょう。
お話しはここまでです。
今日も逢いに来てくれて感謝です。
どうか次も元気に逢えますように……
いってらっしゃい♡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます