第54話 ふれあいフリーパス

 お帰りなさい♡


 まずはあなたが今日も来てくれた事に感謝します。1人ぼっちの僕は相変わらず孤独と共に生きています。


 このお話を描いている時、唯一幸せを感じる事が出来ます。


 あなたにお話を聴いてもらい、元気になれます。僕は孤独ではないのかな?と考えさせてもらっています。


 それでは今日も【生きてる証しが欲しいから】始まります。




♦♦♦♦




 今日のタンポポの作業は工場内での製品作りでした。


 まずは2㎏の梱包作業から。100袋作りました。僕はいつもの通りホッパーと呼ばれる粉石鹸を秤で計量する作業を担当しました。


 作業メンバーはお試しで2回目の新人さんを含め、5人でした。新人さんには頑張って欲しいです。応援しています。


 次は1㎏の梱包を50袋作りました。


 終わると12時まで15分あるのでチラシ折でした。時間の経つのは本当に早いです。お昼の時間になりました。


 今日のお弁当のメニューは、串カツとサバの塩焼きでした。美味しく頂きました。お弁当を食べる時、兄も頑張っているなと思います。


 午後は2㎏の梱包作業を50袋しました。僕は川崎市のバスのフリーパス券をもらいに、川崎駅の役所に行かないといけないので、職員のリーダーに頼んで休憩の5分は要らないので2時5分前に作業を終わりにしてもらいました。


 バスが来ないのです。


 2時7分のバスに乗り遅れると次のバスは45分後になります。家に帰るバスはもっと来なくて3時台は1本も来ません。なので帰る時は30分歩くのです。


 役所に行きフリーパスを頂きました。1年間川崎市内のバスに無料で乗り放題となります。障害者手帳があれば交付してもらえます。


 1年に1度、3月末の最後の週に更新をします。


 このバス券、本当に重宝します。しかし紛失すると再発行してもらえません。僕も何年か前に1度だけ紛失してもったいない事をした経験があります。それ以来、障害者手帳と1セットにして無くさない様にしています。


 僕達、障害者は国の税金で養われているのです。ありがたいです。




♦♦♦♦




 今日のタンポポの稼ぎは通常作業なので、2,100円の報酬でした。


 新人さんは時給300円からのスタートです。なので1,050円の報酬になります。しかしお金だけの問題では無いのです。タンポポは訓練の場でもあるからです。


 働けない精神障害者は沢山います。働く喜びを完全に失う事ほど辛く苦しいものはありません。僕は時給600円ですがタンポポの作業に誇りを持っています。


 生きていく尊さを学んでいます。


 日の出屋では感じる事の出来ない感覚です。本音を言えば、馬鹿にして見下していました。そこから自殺願望が芽生えるのです。


 なぜ俺様がこんな所で作業などしなければいけないのかと苦しみました。しかし今は少しだけわかります。自分には能力が無いと。


 毎日あなたにお話をして気がついたのです。謙虚な心を持てば苦しく無いのだと。


 あなたが僕に教えてくれたのです。ありがとうございます。


 1話でも多くあなたとお話がしたいです。


 どうか明日もあなたが逢いに来てくれますように……♡


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る