第8話 どうしてここへ至った
ミグとシスターメイアイが会場の空気を整えてくれたおかげで無事パーティに混ざることができた。遠い親戚(自称)の幹部が声をかけに来たようだったけれど、料理を摘まんでオーマに食べさせていたら怖いのか近寄っては来なかった。
煩わしい相手を追い払えたことでオーマを撫でながら会場を見渡す。
ミグは早速シスターメイアイに捕まって教会関係者たちに囲まれていた。人気取りに利用されているようで見ていて気分は良くないけれど、信者に囲まれている状況は彼にとって歓迎すべきことだろう。あれなら宗教に抵抗を持つ人間に絡まれる心配はない。
ウクスツムはここへ来て一番の注目を浴びていた。誰かと話すということはなく、会場の中央にただ立ち遠巻きな視線に囲まれている。ある意味では〝壁の華〟だ。本人は畏怖も羨望も心地良いのか、誇らしげにポーズまで取っている始末だ。
(あれはあれで落ち着いてるから、下手に口出すよりほっといたほうがいいか……)
それからしばらくオーマの相手をしていると、警戒を解いたらしい幹部や先輩の女性軍人たちがオーマをかわいがりに来た。オーマは一瞬戸惑ったものの、料理を与えられ頭を撫でられるとすぐに懐いた。
あまりにもあっさり打ち解けたので若干の寂しさを味わっていると、先輩たちから意味ありげに見つめられ反射的に背筋が伸びた。
なにか訓示を聞かされると心構えをしたら、そうではなかった。
「この子はこっちで見ておくから、少しは楽しんできなさい」
ここにいるのだから彼女らも死地に立つことは変わらないのに、接する態度はとても穏やかだった。終末を明日に控え、一種の悟りの境地に達しているのかもしれない。
「あなた独りになにもかも背負わせて、ごめんなさいね」
柔らかい物言いに胸が詰まる。ここへ来て組織を息が詰まるものにしていた堰が外れた。これが本音だ。そう信じられる。
これまで伝えられずにいた万感を受け止めて、敬礼で返す。
「ご配慮感謝します。……オーマちゃん、いい? このおばちゃんたちと一緒にいてね」
「なんだって?」
「ぉおっと、失礼します!」
睨まれて失言に気付くと同時に逃げ出す。「おばさん」は自分にとって極上の存在なのだから、今のも個人的には褒め言葉なのだと釈明しても取り合ってはくれないに違いない。
アルコールのグラスを片手に、関係者や来賓に笑顔を配っては寄って来た意地悪な同期を罵ってあしらいつつ会場を歩く。
自主的に誰かと話したいとなれば、まず探すのはおばさんだ。けれど性格的にこういう賑やかな場所には来たがらないと知っている。見回しても、やはりどこにもいなかった。
「じゃあ他に誰か、っと……」
見つけやすさで言えばなんと言ってもウクスツムだった。常識外れな高身長は手前に何人立ちはだかろうと、チューリップ畑に紛れ込んだヒマワリのように飛び出して見える。なんだったら目が合う。
(……あたしもあんなになるのかな)
魔物の生態について詳しく聞くのはちょっと怖い。
こっちに手を振っていたので近づいて行くと、見上げる首がどんどん痛くなる。気を遣って屈んでくれた。
「魔王さま。待ち合わせスポットみたいですね」
「うん? なんじゃそれは」
「あー……みんなが目指して集まる存在ってことです」
「そ、そうかの? まあ、魔王じゃからの。汝も目指してもよいぞ。憧れを許すからの」
テキトーなことを言ったら照れ照れになった。肩書きの割にこっちが気まずく感じるくらい気易い。
そんな相手に、謝らなければならないことがある。
「魔王さま、ごめんなさい。さっきはその……」
会場に彼らを紹介する際、自分のことについては明かさなかった。軍の上層部は既に知られているとはいえ、不誠実であったことは変わらない。魔王はきっと同胞として紹介されたかっただろうから。
察したらしいウクスツムが薄く微笑む。
「汝が属する群れをこの期に及んで惑わすこともあるまい。それに汝は因子を持ってはおるが、完全なる魔物というわけではないようじゃ。成体した魔物ならばあって然るべき波長を感じぬ。汝は〝人間〟に
思わぬ、安心できる言質を聞けてホッとした。ある日いきなり超高身長になるようなことはないらしい。正直もうちょっとあると嬉しい気がするけれど、服が合わなくなるのは困る。
「でも儂は、汝を家族だと思っておるぞよ?」
涙目で手を握られ、この時代に係累を持たない彼女の身の哀れを思いやった。しかし次に「いつかママって呼んでね」と言われ振り払う。
「そこはデリケートな部分なんで」
「うぅっ、すまぬ……」
我ながら地雷が多いとは思うけれど、彼女はちょっと一言多い気がする。
落ち込むウクスツムを置き去りに、次に話す相手を探す。と言っても、ミグもシスターメイアイも、信者が集まる中にいる。どちらか一方というわけにはいかない。
「はいー、ちょっと守護神が失礼しますねー。後ろから失礼するのは守護神ですよ――アレっ?」
背中が並ぶ人垣をかき分けようとしたら、その前にすんなり道が開いてできた隙間にミグが現れた。パーティ会場でも緩まない険しい顔つきが、頭痛に苦しんでいる風にウンザリして見える。
「娘、丁度良いところに来たな。少し付き合ってもらう」
一体何にか、確かめる前に取られた片手が水平に伸びて体が密着する。動きに釣られて横へ一歩踏み出して、ダンスだとわかった。
「わぁ、すごい。あたし基礎的なステップしか知らないのに。あんたのこと戦闘マシーンみたいに思ってたけど、こんな教養もあったんだね」
身長差があるから肩ではなく腰に手が回っているけれど、緩やかな音楽に合わせて人やテーブルを避けスイスイと会場を横切っていく。
「シスターメイアイと信者にちやほやされて楽しんでたんじゃないの?」
「神官はどこぞへ消えた。それにあの連中は虫唾が走る。神でなくとも力のある者になら誰にでも擦り寄る不心得者どもめ、粛正したくなってかなわん」
複数の国家が関与する統一都市では学閥など一国の枠に囚われた派閥は効力を発揮しない。そんな中でも国境を超えて広がっている宗教だけは組織として機能しているとおばさんから聞いたことがあった。利権に利用されることもあるのだろう。
「この状況じゃ誰だって何かに縋りたくなるよ。あたしだってアンタに頼ってるし」
死にたくない。その本能的なエゴで何もかも利用する。神の力だという新鉱石も化学反応と見なして文明に取り込んだ世界で、現代人類はなにひとつ手放すつもりはない。
「貴様は戦士の心を持っている。それさえあれば戦場では誰もが等しい存在だ。肩を並べる戦友の力を当てにすることを恥じ入ることはない」
「……復活したのがアンタでよかった」
初めて対面したときには世界を滅ぼされそうになり、必死で止めて嘘をつき、ここまで導いた。そんな相手にこんなことを言うのは不思議な気もしたけれど、言葉は自然に出た。
「ありがとうね」
「感謝されるいわれはない」
会場の外まで踊り渡り、やはりパーティの空気は馴染まないらしいミグは先に部屋へ戻ることになった。
去りゆく小さな背中に向かって呼びかける。
「ねえ! 明日が終わったらさ、英雄としての人生も終わりにしなさいよ。神様がいなくなるんならこれからどう生きていくかは自分で決めなきゃでしょ? なにをすればいいか、あたしも一緒に探してあげるから」
半身で振り返ったミグは何かを言おうとして、ほんの少しだけ目元から力みが抜けた気がした。一瞬わずかに見えたその柔らかさは、寂しげなものだったような気がする。
「『神様がいなくなる』……ねえ」
ミグを見送って、不意に聞こえた声にドキリとする。
振り向くと会場へ音楽を届けるスピーカーの陰からシスターメイアイが姿を現した。どうしてそんな所にいたのか、ハンカチで口元を拭っている。
「……なに、アンタもしかして吐いてたの?」
「アラ、ワタクシ聖職でしてよ? 宴の場とはいえそんな心配をされるとは心外ですわね」
近付いてみると確かに顔色すら変わっていなかったけれど、つんと鼻を突く嫌な匂いがした。
「ホントに大丈夫? 明日はアンタも重要な戦力なんだからね」
「もちろん、大活躍致して御覧に入れましてよ。すべての試練は神が我々の正しさを問い、魂の清らかさを試す儀式ですもの。身命を賭して尽くさなくてはなりません」
「……そんな風にまだ信じられるって、凄いわよね」
その神は諦観の境地にいる。そもそも救済をもたらすような、彼女が信じる神とは違った。
「ワタクシにはそれしかありませんから」
神の愛のみ。いかにも「言いそう」なことだと思った。
そうではなかった。
「貴女と同じ、ワタクシ戦災孤児ですの」
「……えっ?」
ぐっと、息を吞む。
自分の不幸が特別なものだと考えているつもりはなかった。それでも、脳内を信仰心で埋め尽くした彼女と自分の境遇が重なるとは思いもよらなかった。
シスターメイアイは笑う。
「貴女のことは放送がたくさん教えてくれました。人類の守護神、戦禍が生んだ英雄などと持て囃される貴女。身一つで生き神を信じること以外に何も手に入れることができなかったワタクシ。似たような事情なのにどうしてここまで違うのか、不思議で不思議で……」
ゆっくりと語る調子は抑揚がなく、目は座っている。
この雰囲気には覚えがある。軍に入隊した直後に散々浴びせられた対抗心、そうした種類の敵意だ。
「ワタクシがどれほど信じても、神の御心を掴むことはできません。その愛はあまねく降り注いでいるはずなのに、地上は幸と不幸で分けられる。飛来天体のニュースを聞いたときは『これでようやく間違いが正される』と納得できました。絶対の平等を〝滅亡〟という形で神が下さるのだと」
なにも驚くことはない。シスターメイアイは元々そういう活動をして一度は逮捕されている。まさしく狂信者の弁。
「ですがニュースはその天罰を貴方が砕くと続きました。そんなこと、到底承服できるものですか。ワタクシは貴女を憎みました。……真実を知った今となっては、虚しいほど的外れな嫉妬ですけれど」
急に、言葉は過去の響きに切り替わった。拍子抜けして警戒を解く。
「……ケンカ売られるかと思った」
「軍人を相手にそんなムチャは致しませんわよ。ワタクシの半生を甘く見ていますわね? 誰かと競って勝ったことも、何かを欲しがって手に入れたことも、一度だってありませんの」
「それじゃあ明日が初勝利になるね」
寂しい笑顔のままでいさせたくなくて、軽口を叩いた。
シスターメイアイは一瞬驚いた顔をして、それから醒めても戸惑いは抜けなかった。
「ああ……そうですわね。考えていませんでしたわ。ワタクシ、初めて勝つのですね。大変、どうしましょう」
頬に手を当て取り乱す仕草がなんだか可愛い。彼女に対して初めてそんなことを思った。
「あ、違いますわね。すべては神の御加護あってのことですもの、神の勝利でしてよ」
「戦うのはアンタなんだからアンタの勝利だよ。あたしだって一緒に戦うんだから、勝手に神様に捧げるなんて許さない。あたしとあんたで、勝って一緒に喜ぶんだよ」
「貴女結構イジワルですのね。……やっぱりちょっとだけ恨ませていただきますから」
非難がましい目で見てくるシスターメイアイを見て、つい吹き出す。
決戦前で張り詰めていた気持ちが安らいでいる自分に気が付いて驚く。彼女と話してこうも打ち解けた心地になれていることも、意外だった。
「なんか楽しくなってきた。よぉーし、シスター! 今夜はとことん飲むわよ。……アンタまだ飲める?」
「聖職だからと言ってアルコールに弱いに違いないと、侮らないでいただけます? 貴女を酔い潰して、もうここで初勝利を味わうことにしますわ」
なんとか乗り越えればいい、そう思っていたパーティが思わぬ楽しいものになって来た。
楽しい時間は過ぎて、翌朝。総攻撃当日。
立襟まできちんと身支度を整え、
勇者、巨人、魔王。それぞれが単騎で世界を滅ぼせるほどの力を持つ人類にとっての災厄たち。これ以上は望めない頼もしい味方ではあっても不安は拭えない。対するものが、彼らが揃って敗北を確信するほどの更なる脅威だからだ。
「それじゃおばさん……信じててね」
長く語れば震えが出そうで、かける言葉は短く留め置いた。甘えてしまえば不安にさせてしまう。それだけはできない。分不相応と知ってはいても今だけは人類の守護神でありたい。
「もちろん信じているわ。がんばって」
おばさんは笑顔で答えた。彼女の中にも精一杯の虚勢があるとわかっているから、素早く振り返ってバルコニーへ出た。
「バトラー、行くよ」
『対消滅エンジン始動、空戦軽装展開。いつでも、ミレディ?』
機械音声を聞くなり爪先で床を蹴って手すりを踏み宙へ身を投げる。
抵抗の結果が変わらないとしても、ここで愛しい人と抱き合って迎えるような最期は選ばない。もし諦める時があれば、それはもう死んだ時だ。
飛来天体は昼過ぎ、狙い済ましたかのように統一都市へ〝着弾〟する。その3時間前となった今、見下ろす街は既に退避が完了していて民間人はおろか軍関係者さえいない。
静止した風景は見慣れているはずが既に滅んだ遺跡のように感じられ、そこかしこに設置された巨大な天を向く砲身は墓標のようだった。不吉さで鳥肌が立つ。
世界各地の都市機能をギリギリまで削って対消滅エンジンを掻き集め、熱光線砲と旧技術の
幻燈織機を用い庁舎を作り変える形で建造された、史上最大規模の対空兵器――通称〝地球砲〟だ。統一都市を半年維持できるほどの電力を一瞬で消費して熱へ換え、ただただ真上へ放射する。
飛来天体の落下地点でもあるそこから遠く距離を空けたビルの屋上で、変わり果てた街を一望しつつ、海岸線に陣を張る参謀本部へ通信を送る。
「ではもう一度、最初から確認しましょう」
消費されるものの量を考えれば予行演習はできない。言葉だけでの手順確認を繰り返す。飛来天体が有効射程範囲を抜ける数秒の間に号令をかける暇は無いので、各自がタイミングを計って順次役割を実行する段取りとなっている。
まずは自爆指令で使用される予定だった反応爆弾が衛星軌道で飛来天体に接触する。次に都市の火力を全開放。算出した到達時間に合わせて他の大陸からも攻撃が加えられる。全世界で実現できる最大攻撃力はこれで打ち止めだ。シュミレーションでは飛来天体を1割削ることさえできず、四分の一相当の質量を受けた地球は粉々になる。
しかしながら表向きには反応爆弾だけで撃退できると公表されていて、それを信じている者も多くこの総攻撃に参加している。そのせいで現場には緊張感が欠けていた。執拗に何度も何度も手順を確認させられてウンザリしている心情が復唱に滲んで聞こえる。
(チャンスは一回きりで、失敗なんかできないのに!)
遠隔操作で現場に出ない同僚たちを毒づきたい気持ちを飲み込み、通信を一時遮断してから床を蹴る。もういっそ真実をブチ撒けてしまいたい。
「落ち着け。貴様が狼狽えれば皆が揺れる。貴様は守護神なのだろう? 己がすべての兵の旗印であると心に刻め」
隣でミグが窘めるような口調を飛ばしてきた。その眼光はこの窮地にあっても鋭い。
「顔色が悪いな。さては貴様、実戦は経験は浅いか」
「浅いどころか……初めてよ」
三千年のキャリアがある先達に虚勢を張る気にはならずに正直な心境を打ち明ける。
「ねえ、世界を救うってどんな気持ち? 今までずっと〝最強〟の勇者さまだって、こんな不利な決戦はなかったんでしょう?」
「有利不利を計って挑んだ
ズバッと答えて、それっきり。まったくもって相談相手として話にならない。
「相手を間違えておるじゃろ。〝英雄かくあるべし〟を問うならば儂を頼るがよいぞ」
声は横手から入って来た。どういう力の働きか、体を浮かせて空中に腰かけているウクスツムは楽しげに微笑んでいる。
「誰が英雄か、決めるのはこの儂じゃ。魔王こそが相応しき者の姿に英雄を見る。侮るでないぞ? この魔王ウクスツムはこのミグの他に、幾人もの英雄と戦っておるのじゃ」
「魔王さま、一体何回負けてるんです?」
「それは聞いてくれるでない。悲しくなるのじゃ」
気を取り直すためか、咳払いが入る。
「このミグなどは、儂に言わせれば英雄ではない。こんなものはただ強いだけじゃ。苦難を押し付ける役回りが欲しい人間どもにとってはこれ以上ないほど頼もしかろうがの。相手をしていてもつまらぬつまらぬ」
「それで『本気になれないから負けた』って言うんですね」
「少しは言葉を慎もうとは思わぬのか? 儂、魔王じゃよ」
ほっぺたをつねられてしまった。かと思うとすぐ指を伸ばして頬を撫で、赤い瞳を瞼で細めて魔王が微笑む。
「儂が戦うならば汝がよい。ただ強いだけの者よりは、汝のほうがよほど英雄じゃよ」
「でもあたしは、守護神なんて呼ばれてますけど……特別じゃないですから」
対消滅エンジンの排気――気化トータルアモルファスに耐性があったのも、魔物の細胞を移植されたからだともうタネがわかっている。ミグのように神に選ばれたわけでもなく、オーマのように特別な何かを持って生まれたわけでもない。
「英雄に数えられるのはおこがましいと? ならば聞け。英雄とは、この者なら世界を救えると信じさせる者。その為に手を貸そうと
「だからそれは騙されているから――」
「信じることに意味があるのです」
また声が横から割って入って来た。
今度はシスターメイアイだ。ここまで魔王に運ばれてくる途中で失神したことなんてなかったかのように、実に落ち着いた素振りで居住まいを整えている。
「祈り、願う。それだけで心に安らぎは訪れます。貴女が貴女でいるおかげで世界は正気を保っていられるのです。ですから『これが終わったらどんな銅像を建ててもらおう』と考えて、堂々としてらっしゃい。自分を特別と思えなくても、自分を特別と想ってくれるひとがいることは信じられるのではなくて?」
いかにも宗教家らしい言葉の中にも、理解できるものはあった。
「自分を特別と思ってくれるひとか。それなら……いる」
おばさんは今頃別大陸へ避難する航空機の中にいる。初めは基地に残ると言い張っていたけれど、流れ弾に巻き込まれるかもしれないと心配したら渋々納得してくれた。
出発する時に「信じてる」と言ってくれたことを思い出す。
「元々負けられない戦いだし、落ち込むつもりもなかったんだけど……ありがとう」
深く息を吸い、そして吐く。これで本当に覚悟が決まった。
「そうこなくては。我に挑んだ貴様が他に臆するようでは困る」
「今日が魔物の新時代となる門出じゃ。魔王、張り切っちゃうぞよ」
「銅像の情幕式は是非主催させてくださいまし」
それぞれに言葉を貰お、ここへ来るまでに巨大化したオーマもビルの縁を掴んで顔を覗かせ「がんばろー」と声を上げた。
ほほ笑みを返そうとしたとき、
『飛来天体が加速。すぐに来ます』
どうして急にそんな、とは慌てずに済んでいられる。そのことが既に奇跡のように思えた。
「各員行動開始! さあ、世界を救うよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます