16
星は本をぱらぱらとめくり、澄くんの話してくれた森のことや門のこと、そして白い月のことについて調べていた。
確かに澄くんの言っていた通りの記述が載っている箇所があった。森に入るためには門をくぐらなければいけないことなど、確かに本に書いてある。
でも、一番星の知りたいことである白い月のことが書いていない。いや、まだそれを『読むことができない』と言ったほうがいいかもしれない。
森にたどり着いた今でさえ、本の半分以上が空白だった。それはつまり、まだ魚が自分の力を半分以上失っているということの証拠でもある。
「この本、全然埋まらないじゃない。魚、あなた、私に嘘ついてるでしょ?」
星がこの本に最初に目を通したとき、本は最初の数ページでその記述が途絶えていた。
残りのページはすべて空白。しかし本は最初から空白だったわけではなく、魚によるとそれは魚が自分の力を失った結果だということだ。
それを取り戻すことが魚の目的らしい。つまり本のページが文字や絵図ですべて埋まることだ。
魚は星と契約を結ぶ際、本を埋めることはそれほど難しい作業ではないと星に説明していた。森を歩いていれば自然と力を取り戻せるはずだから、自分を星と一緒に森の中に連れて行ってくれればいいと話していたのだ。
『うーん、確かにちょっと予想外だね。もっと簡単に力を取り戻せるはずだったんだけど、なにか不確定な要素でも紛れ込んでいるのかな?』
魚の言った通り、確かにここにきて本の埋まるペースが遅くなっているような気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます