第17話 ある夜の奇怪なこと
皆が寝静まった夜
銀髪の少女は起きた。
少女は隣のベッドで寝ている水色の髪の少女に歩いて近づき、その首もとへ口を近づけた。
そこで、銀髪の少女は何かに気づいたように水色の髪の少女から離れ外へ出た。
そして、森で寝ている狼のような魔物を見つけた銀髪の少女は気配を消し魔物へ近づき顔を持ち上げ首を噛みちぎった。鮮血が飛び散り少女の髪から顔、服までもその血で彩った。魔物は声も発せず息絶えた。魔物を両手で持ったまま、血で赤黒く染まった髪をなびかせ暫く魔物を凝視したあとその魔物の傷口へ近づきそこから血を飲んでいった。
そこへ、人が歩いて来るのを感じ、魔物を地面に置き来る方向を見た。
そこに来たのは男で、男は大丈夫かと思い少女に近づいた。
そこで異変に気づいた男は魔物と少女を見比べた。
それは明らかに不自然だった。
男は立ち止まり考えた。
この少女は血塗れだ、魔物は倒せてはいるがもしかしたらひどい怪我をしているのかもしれない。だが、何かがおかしい、なぜ首がちぎれているのに血溜まりができていない。確かにその魔物は先ほど倒されたような感じだ、だがこれから血が出てくるような感じでもない。そこで、また新たに謎が増えた。なぜ魔物は“先ほど倒されたような感じ”に見えるのだろうか。
男は気づかない少女が武器を持っていないことを。
男はこの森から魔物がでないように警備をする者だ。警備をするのだから無論、周辺を歩き回るそんな自分が何も“聞いていない”のはおかしい。
男はまだ考える、少女が獲物を見つけた時の笑みよりも闘争的で不気味な笑みよりもずっと黒く、歓喜の色をしこちらもまた不気味なほどに紅くも黒い眼で男を見ているとも知らずに。
男は色々と考えたがおかしいと思い、何があったのかをとりあえず聞いておこうと思い下を向いていた顔を前に、少女を見るために顔をそこへ向けた。が、少女は目の前まで来ていた。男は急に黙り込んだのだから心配して近づくのは普通かと思い、この現状について聞こうとしたが背中にとてつもない悪寒が走り、本能的に後ろへ跳ぼうとしたが動けなかった。そして少女を見ていたが何も起こらなかった。男は気のせいかと安堵した、だがそれは悪手だった。男を覗き込むように顔を上げた少女を見た瞬間絶望しか感じなかった、それ以外は感じれなかった、身体は動かない、声もだせない、少女は笑ったままだ。まだその不気味な笑みを、眼をしたままで。
少女は言った
「お腹が空いたの…だから…ちょうだい、あなたの血を…。我慢…できないの、お腹がいっぱいにならないから。…ねぇ、あなたはどんな味なの?教えて?私…血が大好物なの…特に人の血は…」
男は声を発せなかった喉はちゃんとあるだが声をだせない、息苦しくちゃんと呼吸もできない。
「いただきます。」
静かに聞こえた。それがどれだけ聞きたくなくてもその先を知っている男は尚更怖い。
首もとが熱く感じる痛みではなく熱い。
だが血は見えなかった、全て少女が飲み込んでいる。足に力が入らなくなり膝をついた。そのまま意識はかすれていき、永遠に瞳を閉じた。
少女は男を無造作に投げ捨てその場を離れた、動かなくなった魔物と男を放って。
その後も銀髪の少女は2ヶ月変わらず獲物を求めた。
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