記憶旋律


あ、ら?

なんだか聞いたことがあるメロディー

地平線の向こう側

境界線のあちらがわ

なんだか、

ぼ、やけて

ふやけて、

妙に可笑しくて

なんだか

懐かしくて


記憶の旋律をたどる


君の声によく似ていて

当たり前のようで

当たり前じゃなくなっていく

原風景を色で上書きしてさ

本当に大事なこと

消していくの


何気なくてね

当たり前に

聞いていた


君っていう

声、心音、無造作な仕草

何気ない歩幅でのステップ

たまに口笛なんか吹いたりしてね


君をめぐる次の楽章

乱舞してロンド

戻らない音を懐かしがって


あ、ら?


記憶の旋律に溺れるよりも

美しい音が溢れてる世界が

今、目の前に広がって


ファンファーレ

聞くより早く

翔び上がってさ


まだ旅の途中、冒険の最中

記憶旋律、時間の階層に

埋めてしまうのはまだ早くて


聞き覚えのあるメロディー

君の仕草、口癖、なんでもない

あの日あの時の、心音も

楽譜に綴るにはまだ早いから


君の音、

そのすべて

攫わせて

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