極道 10

私は家でゴロゴロしながらずっと考えていました

父の所に行かなくちゃ


心では…頭では…

行こう…今から行こう…

と 思ってはいたが体が動かなかった


私は 父から逃げているのかもしれない


その日一歩も外へ出なかった

というか 家の中でさえも歩かなかった

ずっと床に転がっていた


夜になって何気にカレンダーを見て フッ?!と気がつく

「あっ…父の日…過ぎてる…忘れてたぁ」


まぁ 父の日 と言っても

最近プレゼントなんてした事ないケド


小学生の時…黄色い薔薇を一本プレゼントした以来あげてなかったなぁ…


あの時の父

どうだったかな?

喜んでくれたっけ?

いつしか私は昔の事を思い返していた



アレ?




父との数少ない

「良い想い出」

しか頭に浮かんで来なかった


膝に抱っこして貰ってお菓子を食べたなぁ


「ちび!」「ちび!」

って呼んでるご機嫌な父


そういえば中学3年の時

あの父が三者面談をしに学校に来た事があったなぁ

母が具合悪くなり急遽きゅうきょアイボリーのスーツで父が変わりに来てビックリしたっけ


ハァ…


夕べ泣き過ぎて私の頭はやっぱ麻痺しているようだ


この日は笑っている父しか


思い出せなかった…


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