第15話 残り香
君の残り香を引きずって
僕は僕の場所に帰っていく
見送ることもしないで
他人のように別れる二人
街の闇にくるまって
はしゃいだ夜を仕舞い込んで
ふざけ合った分だけ
リアルが不意に砕け散る
瞳の中に映る互いは
求めることを止めはしない
真夜中は別の顔
夜の向こう側へ
触れ合う指先がいざなうときめき
果てしなくも儚い一瞬が
何よりも大切だと告げている
時を抱きしめていたい
別れが来るその時まで
時を抱きしめていたい
出会いがそれを運命づけた
時を抱きしめていたい
ふれあう指先が切なさに耐えきれなくなるまで
君の残り香に誘われて
僕は君を探しに出かけていく
何の約束もしないで
当たり前のように重なる二人
月の光に身を任せ
狂った夜に迷い込んで
さまよい歩いた分だけ
リアルが嘘に見えてくる
囁く声も聞こえないほど
こぼれる吐息溢れる思い
真夜中は別の顔
夜の向こう側へ
重なる唇が言葉を奪えば
果ててもなお労わるやさしさが
何よりも罪深さを告げている
時を抱きしめていたい
言葉が二人を分かつ時まで
時を抱きしめていたい
出会いが間違いだと気づくまで
時を抱きしめていたい
ふたりの想いが愛しさに溺れてしまうまで
時を抱きしめていたい
時を抱きしめていたい
時を抱きしめていたい
君の残り香が掻き消されてしまうまで
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