第22話

風が男を連れて来たのは、アンジェラが降り立った崖の、すぐ傍でした。


アンジェラは、うずくまっています。

サナギが吹いて渉ります。


「っくしゅん!」


潮の香りが、男の鼻を、くすぐります。


男には、見えていました。

翼を持ったアンジェラに、サナギという「声」が、囁き掛けるのを。


(ねぇ? いいひとと巡り会えたんだね)


アンジェラは、泣き腫らした顔を、していました。


男は、いとおしくなって、駆け寄ります。

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