第15話
裏切ったアイツが、いけないんだ。
男が鞭を打ったのは、いちどきりでした。
満月に近い月が東の空に昇ったとき、それまで我慢していた男の、心の糸が切れたのでした。
彼女が、男と、ずっといっしょにいたいと言っていたのは本当のことでした。
ですが、その言葉には、きもちが満たされてなかったのです。
打ったのは、鞭ではなく、心が、それを創り出していたのでした。
満月に近い月が、窓から射し込み、ふたりを照らし出していました。
彼女は、心に翼を生やし、男のまえから姿を消したのでした。
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