8話 輝け(shine) 93

今日は町に出ました。混雑する時間を避けて外に出ました。

でも、電車に変わった乗客がいたので落ち着けませんでした。服のありとあらゆるところに安全ピンと骨を身に着けているのです。幸い、人間の肉に針が直接刺さっているようなことはありませんでした。しかも足を大股に開いて通行の邪魔になるように偉そうにふんぞり返っていたのです。はっきりいって邪魔です。私は気味が悪かったので、車両を移動しました。変わった乗客はなぜか私をじーっと睨みつけてきました。

私は心の中で「輝け!」「輝け!」と乗客の未来を応援しました。車両を動いたのはいいものも、乗客も私の跡をつけてきました。乗客が目的の駅に着くまで、私のことを睨みつづけていました。突然死すればいいのにと色々考えましたが、何事も起こることはなく、乗客は電車を降りてしまいました。世の中思い通りにならないことの方が多いです。

外には嫌なことがたくさんあります。だから、引きこもりたくなるのです。

町についたとき、今日の町はいつもよりきれいだなと思いました。人間の醜さとは相対的。といっても、その町は人によって作られた場所なのです。複雑な思いになりました。

どこへいったら美しい存在になれるのでしょうか。

あと93日。

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