第4話 夕闇餃子
一人暮らしを謳歌していた時代。
食生活というのは何かと課題の多いトピックである。
ある日、日も傾いてきた頃、そろそろお腹がすいてきたので今夜のおかずは何にしようと夕日を眺めながら思案に暮れていたところ、窓の下からなにやら騒がしいアナウンスが聞こえてきた。
「ぎょうぅざぁぁ~あ、ぎょうざ!」
「美味しい美味しいぎょうざだヨ!」
うわ、いまどき移動販売!しかも餃子!
漂ってくる昭和の香りとそこはかとない怪しさにハートが揺さぶられる。
どうやら車はうちのマンションの下に止まったようだ。わざとなんだろうか。気になって仕方ない。
「車の中でジャンジャン焼いておりますぅ~!」
おおおお、マジかよ!
焼いてくれているならすぐに食べられるわけで、怠け者にはなんとも魅力的。
思わず必死に階段を駆け下りていた。
車はすでに車外放送を止めていて、客待ち状態。
「あのー?餃子いくらですか?」
と声を掛けると、運転席に座って(くつろいで)いたおじさんがまるでマンガみたい飛び上がってビックリしていた。いやこっちがビビるわ。
客が来るのがそんなに想定外なんだろうか。
ていうかじゃんじゃん焼いてるんじゃなかったのか。
しかしこれが結構美味しかったんだよ餃子。
15個500円っていうのも良心的。
今度はいつ来るんだろう。
再び聞こえるアナウンス。
「2ヶ月に1回ぐらいやってまいりますぅー!」
すくなっ!しかもアバウト過ぎ!
もう絶対来ない気がした。
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