第6話 かなしばり

『なんだ、そこにいたの?』


ん?

いたよずっと

ずっと君の傍にいただろ

気付かなかったって?

冷たいなぁ


どうせ君にとってボクは

抱き上げられ撫で回されるおもちゃで

『気付かなかった』って存在にすぎないんだろうね

別に気にしないけどね


誰かに捨てられボロボロでここにたどり着いた身だ

わがままなんて言わないよ

「ここにいる」

それだけでボクは満足だ

自分の居場所があるっていいことなんだよ


でもね

少しぐらいボクに愛情ってやつをくれないかい?

ひとりぼっちになった君には愛情ってのは無いのかい?

あったらボクにも少し分けてくれないか?


ボクは君を慰めたり癒やしたり

役に立ってると思うんだ


この短い命が尽きるまで

ボクは君の傍にい続けることもできる


なんてね

どうせ君はボクが何考えてるのかなんて

わかってないよね


さて、そろそろ君のお腹の上から降りるよ

君が「金縛りだ!!」と起きて騒ぎ出す前にね

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