二日目 5/5
その夜。シュシュは不安で眠れずにいた。
「ああもう、何で……」
風呂場で龍野に対してとった態度。その過ちが、折角深まった二人の仲を冷えさせてしまったのではないかと危惧していたのだ。
「ふざけんな、私の天邪鬼! このっ、このっ、このっ!」
何度も枕を殴りつけるシュシュ。しかし怒りは一向に収まらない。
「何ではっきり『好き』って言えないのよ! これで兄卑が……あに、ひ?」
シュシュが何かに疑問を感じる。
「ああ……兄卑なんて、バカにした呼び方をするから……嫌いになっちゃってるんだろうな、今更」
先程までの怒りは消え、代わりに何かを喪失したようにぽつりぽつりと呟き始める。
「これからは、『お兄ちゃん』って呼ぼう。そうだ、そうしよう」
そんなシュシュの様子を伺う影が、廊下にあった。
皐月である。
「百合華お姉ちゃん……。これ、マズいかも……」
一方、龍野はそんな二人の様子など気にせずに熟睡していた。
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