53-10 生徒会長選挙


 今日は俺と会長だけでご今後の活動をどうするかを決める為に二人っきりで生徒会室で会議……二人きりで会長が幼児化したらどうなるか……ちょっと怖い



「それで美月は何をやるかよりも、まず何が出来るかだって」

 もう少し細かい内容だったが要約するとそんな内容のファックスが送られてきた、ついでにその倍以上の枚数のラブレターも……


「何が出来るか?」


「うん、選挙の決まりや、活動していい時間、例えばネットやSNSなんかは使えるか? とか、選挙のルールを破れば普通なら公職選挙法に引っ掛かって逮捕されるだろ? 学校内だから逮捕される事は無いけど、ルールを破れば失格や辞退なんて事になるだろ? だからその辺を聞かないと作戦がたてられないって」

 ギリギリまで攻めたいって事なんだろうけど、逆にちょっと怖い


「えっと、一応ある程度のルールはあるけど、普段の校則と常識の範囲内での活動なら特に何をしても良いって事になってる」


「校則と常識?」


「うん、例えば朝は登校時間、門が開くのが7時だから7時から、帰りは完全下校時間、今は18時だからそれ迄とか、登校や下校してくる時間に皆にビラを配ったり、演説したりするのは多分大丈夫、SNSも多分大丈夫かな? ただし本人から聞かないといけないから、例えば誰かから勝手にアドレスとかを貰って送り付けるのは駄目とか」


「なるほど」


「ポスターも写真は駄目だけど絵とかならOk、でも貼れるのは掲示板だけ」


「勝手に貼ったり出来ないって事か、でも仮に破ったとして取り締まるのは誰だ?」

 先生がやるのか? 自主性を重んじるって言ってそこは介入するのか?


「えっと一応選管はいるけど、開票位しかやらないのよね、学園祭実行委員がそのままやるのが慣例になってるから皆めんどくさがってる感じ、まあ、あまり酷い事をしなければ何も言わないかな」


「なるほど……」

 俺は美月に情報伝える為メモを取りながら会長と会議をする、まあ会議と言うより俺が質問しているだけだけど……

 


「活動出来る事は限られてるからね、クラスに回って演説したり、全校生徒の前で応援演説とかはやらない、学校側が選挙で何かしてくれたり時間を取ってくれる事は一切しないの」


「えーーー? なんでだ?」

 中学の時の時だってクラスに来たり、全校生徒の前で候補者と応援者の演説とかやってたぞ?


「あくまでも生徒の活動だからって事なんだろうけど」


「本当にやる気の無いな、この学校……」


「まあ元々は女子高だったからかな? ほら女子ってグループを作るからね、そのリーダー的な人が選ばれるのよ、だから大きなグループを作った人が代々会長になってる」


「ああ、女子のボッチは少ないからな……ってことは去年は会長がリーダーだったって事か?」


「うん、まあ、私というよりは、裏で副会長……瑞希が動いてたと言うか……」


「ああ」

 副会長、有り余る金で人の心まで買い、自分の物にする悪魔、あいつが居れば高校に会長位なんでもないか……恐らく市議会議員位なら簡単になれるだろうな……


「1年は栞、2年は会長、あれ? じゃあ3年にも居るのかリーダー格が?」


「……いるわ」


「じゃあ、そいつに票を入れる様に頼めば良いじゃないか」

 なんだ、そんな今思い付いた様な人物がいたのか! それなら話しは早い、そいつに会長宜しくで勝てるんじゃね?



「うーーーーん、無理かも……」

 しかし会長はほんの少し考えて俺の言葉を否定する。


「無理?」


「うん」


「なんでだ?」


「去年私が圧倒的な大差で勝っちゃったから」


「ああ」


「1年と3年は仕方がないとして、2年の半数以上の票も私に入った……学校の8割近くが私に入れたの……ショックだったのか彼女……暫く学校も休んだって……」


「そこまで……」


「まあ学年の女王様だからね……プライド高いんだろうね」


「プライドね……」


 あの副会長の事だ、昨年は恐らく会長の知らない裏で、かなりのこと事をしていたんだろう、恨まれても仕方ないか……


「それでも学年の半数は彼女の支持者だし、瑞希が居なくなって彼女の庇護下に戻った人も居るし、今でも3年の女王様よね」



「3年の女王、でもそいつのご機嫌次第で勝負が付くかも知れない、なんとかこっちに引き込めないかな? ちょっと調べてみるか、で、そいつの名前は?」


「それがね、私もこの間……学園祭の時に知ったんだけどね」


「ん?」


 会長が俺にそいつの名前を言った、ん? どこかで、あ! えええええええええええええええ!


 3年の女王とは一体、そして彼女は俺達の味方になってくれるのか?

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