42-1 麻紗美との家デート
今麻紗美の家のリビングに来ている、同じ中学だった麻紗美、家も結構近い、ただ幼なじみではなく知り合ったのは中学2年の時、それも学校で話すくらいの関係だったので家にお邪魔するのは今日が初めて……少し緊張する……
「そう言えば親御さんは?」
「今日は誰もぉ居ないのぉ」
「へ、へ~~そうなんだ~~」
マジか……初めて入る家、告白を受けた相手の家に二人きり……そして今日の麻紗美はボーダー肩出しVネックのサマーセーターに、ニットのミニスカート、身体のラインが綺麗に出ている……凄く胸が……大きな大きなお胸様が……強調なされて……
「えっと、今日は何をしようか?」
「え~~裕、私とぉ何かしたい事がぁあるのかなぁ?」
正面に座る麻紗美……足を綺麗に揃え姿勢良く座っているんだけど……お茶を飲んだりする時に、なんかもう……見えそうで見えそうで、いろんな物が……
「えっと、特には……、暑いね今日は」
辺りを見回しながら手で顔をパタパタと扇ぐ、暑いのは多分気温せいではないんだけど……
「エアコン少しぃ下げるねぇ」
テーブルに置かれているリモコンを手にピピっと温度を調整する麻紗美……
そのリモコン取ったときに……胸がチラリと見えた……情熱の赤……
「えっとねぇ、私の番って事なんだけど~あれってぇ騒いだのは美智瑠ちゃんでぇ私はぁ無理やりぃ誘ったら悪いしぃ特に行きたい所とかぁないしぃって思ってたんだよねぇ」
「そうなんだ……」
「でもぉせっかくぅ貰ったチャンスなんだからぁ有効に使わないとねぇ」
そこでにっこり笑う麻紗美……その俺の大好きな、目が細くなって線の様になる麻紗美の笑顔にドキドキする。
「チャンスですか……」
「うん、とりあえずぅ、わたしのぉセールスポイントはお料理だからぁ、今日は家でぇゆっくりしてもらってぇ、私のぉ手料理を食べてぇもらえたらなってぇ」
「へえ、それは楽しみ」
正直出掛けるのはそれほど好きじゃない、人混みが嫌いで、家で本を読んでる時が一番落ち着く……それをわかってくれているのかも……本当に麻紗美は俺の癒しなんだよな~~
「お昼はぁ、準備してあるけどぉ、まだ早いよねぇ」
「そうだな~ボチボチ空いてはいるけど」
「じゃあぁもう少ししたらぁ出すねぇ」
「うん、ありがとう」
俺はそう言って出されたコーヒーを口にする……
「それで~~栞ちゃんとはぁもう、ちゅうとかしたのぉ」
「ぶふぁっっゲホゲホ…………」
突然の麻紗美の言葉に、俺はベタにコーヒーを吹きこぼす……て言うか今のタイミング……わざとだろ!
「な、な、何を!!」
「その様子だとぉなんかあったんだねぇ」
テーブルに吹きこぼしたコーヒをティッシュで拭きながら、俺を笑いながら見る麻紗美、だから見えるってば……それもわざとか? じゃ遠慮なく見てやる!
「いや、ないぞ、別に何も……」
なんか夢で栞にキスをされた様な……そんな気になっていただけ……あくまでも夢だよ、夢……
「えーー、なんかぁ昨日栞ちゃんとぉ電話でぇ話したんだけどぉ、栞ちゃんなんかぁ余裕って言うかぁ、正妻はわたしぃ~~みたいなぁ口振りだったんだよねぇ、あ……、なんかぁあったなってぇ」
「ないない、何もないぞ、本当に俺と栞は清廉潔白、清い関係、ただの兄妹だから」
「ただの兄妹はぁ、一緒に寝たりぃ、付き合ったりしないってぇ」
口元を押さえ、上品にケラケラ笑う麻紗美……
「いや、それも前の話しで、今は正確には付き合っていないから」
「ふーん、そうなんだぁ、じゃあ栞ちゃんの事はぁ何とも思ってぇないのぉ?」
「えっと、いや何ともってわけじゃないけど……」
「じゃあ、わたしのぉ事はぁ?わたしのぉ事はどう思ってるぅ?」
直球で聞いてきたな……麻紗美……俺は麻紗美の事を考える……
麻紗美は……凄く話しやすくそのしゃべり方に癒される……
中学の時殆んど誰とも喋らずにいつもボーッとしていた麻紗美……
その姿、その麻紗美の目を見たら話しかけずにはいられなかった……
何か好きでボーッとしている訳じゃない、でもそうせざるを得ないって感じがした。
最初は殆んど喋ってくれなかった……でも拒絶ではなく、何か俺に迷惑をかけたくないと言う感じがしたので、俺は麻紗美に根気良く話しかけ続けた……
そして約1年近くかけて麻紗美と普通に会話が出来るようになった……
麻紗美はその独特のしゃべり方で小学生の時からからかわれ、自分でもこのしゃべり方で相手に迷惑をかけていると言う事を思い、次第に周りから距離を置き、あまり喋らなくなってしまったと言った。
でも……本当は凄くお喋りで、相手思いで、世話好きで……
俺を癒してくれる……、本当に麻紗美と喋ると凄く癒される……
そんな麻紗美に告白をされた……、多分俺が孤独だった麻紗美を救ったと思っているんだろう……でもそれは違う、むしろ俺が麻紗美に救って貰ったんだ……麻紗美と喋ると癒される、それは中学の時の楽しみだった、だから麻紗美は勘違いしている……俺の事を好きと言うのは麻紗美の勘違い、幻想……
「麻紗美と話すのは凄く楽しいし、安らぐ、でも……今はそれだけとしか……、俺にとって麻紗美は大事な友達……ごめん、今は……」
「ううん、ありがとう……、大事なってぇいってくれてぇ……凄く嬉しい……、裕はぁ相変わらず私に自信をくれるねぇ」
「自信?」
「うん、私はぁ自分に自信がぁなかったのぉ、トロイ喋りでぇ運動もぉ勉強もぉいまいち……でもぉ、わたしのぉ喋りでぇ嫌な顔一つ見せなかったぁ裕が凄く楽しくぅ毎日話しかけてくれてぇ、ああ、わたしのぉ事を、そう言う感じでぇ捉えてくれるぅ、受け入れてぇくれる人がいるんだってぇ、そうしたらぁ凄く自信がぁ持てたのぉ、だからぁ裕には感謝してるぅ」
「こっちが感謝してるんだけどな」
「じゃあぁ、お互い様だねぇ」
「そうだな」
俺と麻紗美はケラケラと笑い会う、中学3の時に同じクラスになった時に初めて笑いあった、また一緒にいられると言う安心感だったんだろうか?
何も喋らずに笑いあっていた。
俺はその時の事を思いだして笑った、麻紗美も同じ事を思い出しているんだろう、二人でいつまでも笑いあっていた。
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