35-1 裕と栞と美月
結局花火大会は、終始美月が3人に対して攻撃的というか、俺との関係を見せつけていると言うか、何とも言えない状態で終わった。
何とか美月の考え方、友達なんかいらない、という拒絶を和らげたいと思い2人と会わせたが、逆に散々な結果に終わってしまう……
とりあえず、二人には謝りのメールを送ったが…………
『大丈夫だぞ、でもロリはほどほどにしといて僕で我慢しとけ』
と返信が来る……いや、美智瑠言うほどロリじゃない、胸だけ……なんて返信できるはずもなく、そして合法ロリなら白井先生の方が……おっと俺はロリじゃない俺はロリじゃない……
そして麻紗美からも返信が
『美月ちゃん可愛いね、ゆう君がキスしちゃった気持ち分かるよ、でもほどほどにしとかないと、117じゃなくて次は110って押すからね~』
今日の電話の相手は時報だったらしい、次は天気予報でも聞いててくれ……
リビングに座ってメールを見ていると、先に着替えた妹が入ってくる。
「美月は?」
「お風呂に入ってる」
「そうか…………」
妹は俺の隣に座り正面を向き俺を見ないようにしながら言った。
「あのさお兄ちゃん……、美月ちゃんと一度きちんと話した方がいいね」
「ああ、うん、その話しを今しようと思ってたんだ、栞は俺の事本当に分かるんだな」
「うん……、今回は分かるのがちょっと嫌だけどね」
妹は笑顔で答える、要するに美月と家か外か二人で過ごすと言っているんだから、どちらにせよ妹としては嫌だろう……
「美月はきっと、誰にも言えない事を、思いを抱えていると思うんだ、昔の栞の様に、ただ俺が不甲斐ないばっかりに栞を助けてやれなかった、でも美月は気がついた以上助けたい」
妹の悩みに全く気が付いてやれなかった、今日の花火の様に近すぎても良くないって事なのか……
「ううん、お兄ちゃんは私の事を助けてくれたよ、あの頃と比べたら私天国にいるくらいの気分だもん、……だから今度は美月ちゃん……私たちの妹を助けよう」
「俺が人を助けるなんて、美月を助けるなんておこがましいとは思うけど、とにかくいい機会だし、美月とじっくり話してみるよ、最終的に栞に頼るかも知れないから、その時は宜しくな」
俺なんかで美月を救う事なんて出来るわけないけど、妹が居れば……
「ううん、私じゃ無理だよ、美月ちゃんが私に心を開く事なんてない、出来るのはお兄ちゃんだけ……多分弥生さんでも、美月ちゃんのお母さんでもお父さんでも無理……でもこれ以上美月ちゃんがお兄ちゃんに心を開いたら……」
妹はそっと俺の手を握る、俺は妹の頭に手を乗せ軽くポンポンと叩く、多くは語らない、でもこれで意志疎通が出来る、出来ていると思う……
「明日美月を東京見物にでも連れていくよ、……ごめんな」
「ううん、でもいーなー、私もいきたいなー、もっともっとお兄ちゃんとデートしたい、たーーりーーなーーーいーーー」
まだまだ行きたいところは山ほどある、大丈夫行けるよ、時間はたっぷりあるんだから。
「そうだなー、行きたいな」
美月が来て以来なかなか二人の時間が作れなかったが、こういう一瞬の二人の時間って言うのも、凄くいいと思った……
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「美月~~入るぞ~~」
美月の部屋(仮)をノックして、部屋に入る。
俺のブカブカのTシャツを着た美月が扉の前までとことこ歩いてくる、下は履いてるのか不明、家から送って貰った荷物は届いているはずだが、いまだに寝巻きは俺のTシャツ……
「いつまで着てるんだ、寝巻き荷物に入ってなかったのか?」
「ううん、あるよ、でもお兄ちゃまのこれが、いいの」
そういって襟首を引っ張り上げ匂いを嗅ぐように顔半分隠す、Tシャツがせりあがり、太ももが露になる……何か履いてるか、いまだにぎり不明……
「あ、洗ってあるから匂い何てないぞ……」
その姿にドキドキする、いや俺はロリじゃない、ロリじゃない……
「ううん、匂いはなくてもお兄ちゃまを感じるの、お兄ちゃまに抱き締められている感じがして安心するの……」
や、ヤバい…………滅茶苦茶可愛い……俺は……ロリかも……ち、違うもん、美月が可愛いだけだもん、その辺の小学生と美月を一緒にしちゃダメだもん……
「えっとあのさ、明日栞は友達と用事があるらしいんだ、俺は特に用事がないし、美月東京って殆ど来たことないだろ、明日どこかに連れていくよ」
「!!ほ、ほんと!!お兄ちゃまと !!デート !!!!」
聞いた瞬間小躍りする美月、ホントにこの子は子供かと大人か、どっちかわからない、でもその姿に油断した所で本心や確信を突いてくる、裏を読む、1から10を知る。
人は知られる事に恐怖する……人の心を読む、何でも出来る化け物、美月の事をそう思うんだろう。
俺は妹で慣れている、妹も内心を読みにくる、すべて見透かされている感じがする。
美月と妹の違い……それが美月を助けるキーワードのような気がしていた……
「どこか行きたい所あるか?」
「東京ディズ」
「そ!そこだけは止めような、あ、ほら俺は人混み苦手だから、な」
「ええええええええええ、まあそうだね折角お兄ちゃまと二人きりなんだから、もっと人の少ない所の方がいいよね」
「そうそう、危ないから止めような色んな意味で……」
「じゃあねーうーーん、あ!、…………に行きたい」
一瞬聞き間違えたかと思った、そこは観光地ではない、観光地に行く所……
「え?、そんな所?」
「駄目?」
「いや、全然良いけど、何で?」
「レストランも一杯あるし、景色も良いし、お兄ちゃまと行きたいと思ってたんだ」
「……そうか、そう考えたらそうかも、この間は時間が無くてゆっくり見れなかったけど、店も一杯あって面白いかもな、よし明日行こう」
「わーーーーい、お兄ちゃまと初めての二人きりデートだーーーー!!」
明日小学生とデートに行く…………
でもあそこなら社会科見学って事で何とか誤魔化せそうだな……
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