19-1 本気のデート


 生徒会騒動が一段落つく


 俺も妹も、さすがに人にやらせて、何もしないわけには行かないので、週末はボランティア活動に精を出した。


 一通り終了し、レポートを提出、妹の頼みとあって、凄い量のレポートだったらしく、今頃生徒会はまとめ作業に追われているだろう。


 しかし、会長と副会長、あとあの書記も一癖も二癖もあった、会長の二面性といい、あの副会長の最後の態度といい、なんか今後も絡んできそうな嫌な予感がする。



 そして、期末試験も近づいている週末、いつもの自宅リビングでのお茶会中に妹が突然声を荒げて俺に言った。


「お兄ちゃん!大変だ!」


「ん?なんだ、どうかしたか?」

 また生徒会?もう当分いいんだけど

 妹の慌てように俺はコーヒーを飲みつつ、出来るだけ冷静に聞き返した。


「最近全然デートしてない!!」


「……」


 まあそんな事だろうとは思ったよ。


「このままだと、まずいよ、タイトル詐欺って言われちゃう!」


「いや、もうすでに、一度恋人関係解消した段階で詐欺に近いって何を言ってる?」


「デートをします」


「あまりその人のネタ使うのも、まずいと思うんだけど、まあデートねえ」


「えーー、いいでしょう、今回 私、頑張ったでしょーご褒美はー」

 妹は、ボールを取ってきた子犬が飼い主に、誉めて誉めてとねだる様に、ソファーの上で犬の様なポーズと目をして俺に訴えかける、かわいい、かわいい。ただ尻尾の代わりにおしりを振るのはやめて


「いや、頑張ったっていうか、凄すぎるっていうか、チートすぎるっていうか、俺TUEEEEじゃなくて、妹TUEEEEって斬新の様な、探せばあるような」

 そう言い妹の頭を撫でて誤魔化してみた。


「お兄ちゃんもなに言ってるかわからないよ、とにかく連れてって」

 撫でただけでは、誤魔化せなかったか……


「はいはい、で今度はどこへ?」


「うーーん、秋葉原?」

 ネタ切れですか?


「二人で旅行に行きたい」


「日帰りならなー」


「そして、終電が行ってしまい、二人はえへへへへへへへへ」


「はいはい、また異世界に行って作者を凹ませないようになー」


「泊まりがけの旅行の約束したでしょー」


「しーー、それは内緒の奴、言っちゃ駄目な奴、後にとっとかなきゃいけない奴」


「お兄ちゃんと誰も居ない所に逃避行したい」


「はいはい、ただの遠出ね」

 誰もいないところってのが問題だな、無人島か?


「えっとね、つり橋効果が良いって、どこか高いところか危険なところがいい」

 ついにググり始める妹


「落ちないようになー」


「そして二人で恋に落ちようお兄ちゃん」


 俺的には、ここで妹とくだらない話しをしているのが一番いいんだけどなー


 妹は首を傾げ、いつもの口元に指を当て考える、アザと可愛いポーズを取る。

「高校生定番デートがいいなー」


 妹以外とデートした事無いから定番がわからん……


「定番デートねー、ちょっとググって見るか」

 スマホで検索してみた。



「……」


「どこだったの?お兄ちゃん」



「お互いの家……」


「うん、もういるね」



「ボーリング」


「こないだやったね、私はもうちょっとやりたかった」



「カフェでお茶」


「妹カフェならほぼ毎日、メイドカフェもしたね」



「やってる、俺達全然やってるじゃん、定番デート」


「う、うんそうだね、リア充だね」


「うーーーーーん」

 二人で腕を組み、ベタな体勢で悩む


「お兄ちゃんは、例えば彼女が出来たなら、どこかへ行きたいとか思った事ないの?」


「うーーーん、彼女の部屋?」

 健康な若い男子はみんなそう思う、多分……。


「それも前回やったし……」


「栞こそ無いのか?」

 妹はちょっと食い気味で、何を今さらまた聞くか?と言わんばかりの勢いで答える。

「私の仮想彼氏はお兄ちゃんしかいないの、お兄ちゃんが連れてってくれるところなら、たとえ地獄でもわたしは楽しいの!」


「また平然と言ってのけるから、この妹は、よし!じゃあ地獄に行こう」


「うん、良いんだけど、どこにあるの?」


「3丁目辺りにないかな?」


「絶対ないね、この間通ったし」


「これってさ、倦怠期じゃね?」


「もう夫婦も同然って事だね、えへへへへへへ」


「うーーんめげない妹だなー」


「もう、どこでも良いから連れてって!、デートしたいいい!!」

 またジタバタし始める、最近妹はワガママに拍車をかけてきている。


 やはり、あの俺達は離れられないってのに安心しきってるんだろうなー、でもこれが妹の本来の姿と思うと、それはそれで素直に良かったとも思うんだが……。



 でも、俺もちょっとは……そうか!!



「よし!わかった!、俺も本気出すぞ栞、今度のデートは栞を本当の恋人と思ってデートする!」


「え? 恋人と思っててくれてなかったんだ……」

 ずーんとへこむ妹


 いやだって妹だし……

 気を取り直し


「生徒会の件は栞頑張ってくれたからな、今度は俺が栞の為にがんばる」


「うん!……お兄ちゃんが恋人気分になってくれるなら、そのまま……今回だけじゃなくて、もうずっと……、ここは私の正念場かもしれない……、このままお兄ちゃんを……」


 なにやらぶつぶつ言い出す妹の言葉を聞いてすでに後悔が……


 本気のデートってデートに本気も何も無いんだけど、俺、大丈夫かな~、やばいかなー、言っちゃったよなー、妹の攻撃に耐えられるんだろうか?















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