1-2告白の答え
「へっ?」
変な顔で変な声を出す妹
聞き損じたのか、大事な所なのにと思いもう一度言ってみた
「兄妹として付き合い」
「いや、お兄ちゃん聞こえてるから、そうじゃなくて兄妹として付き合うってどういう事なの、断るって事? 何か日本語変だよ?」
妹は、ボロボロ涙をこぼしながらも、どういう事かと聞いてくる。
「そうじゃなくてさ、付き合おうって事」
涙で潤んだ瞳を見開き、首を傾け歪んだ顔が、??? な顔になる……
「付き合ってくれるの?」
「そう、但し兄妹らしく付き合う」
眉間に
皺が残るぞ妹よ
俺は皺のよった妹の眉間を触り、それをほぐしつつ袖で涙を拭きながら
「とりあえずさ、お前をこれ以上泣かしたくないし、付き合って見たらやっぱし違うーーーってなるかも知れないし、兄妹らしくって言うと変だろうけど、節度のある付き合いをしてみようかって提案何だけど」
「どうか」
なと言う間もなく妹が抱きついて来る
「うん! それでいい、ありがとう! お兄ちゃんだいすきいいいいいいい!!!」
「いやだから節度…まあいいか」
俺は妹の頭を撫でながら、落ち着くまで抱きつかせていた。
#####
付き合う事になった(完)
よくある恋愛小説の様に、そこで終わり後は知らないーって言う訳には行かない。
そして、兄妹で付き合うって決めた所で、大っぴらに付き合ってますーーと公言なんて出来る訳もない
当然親には内緒にしなければ卒倒されるだろう。
そんな覚悟が有るのか? と妹に聞くと
「お兄ちゃんの今朝の態度だと、お母さんにバレるよねーーー」
泣いたカラスか真っ赤な目で、ケラケラ笑いながら妹が俺に言う。
そんな余裕な態度を見て、妹に訪ねてみた。
「栞、誰かと付き合った事あるのか?」
「え~~~~あるわけないよーー、だってずっとお兄ちゃんが好きだったんだも~~ん」
「……そうですか」
思いっきり照れることをすらすらと
その俺の姿を見た妹もハッ!となり俯きながら真っ赤な顔で
「うん」と言う
あ、今ちっとだけ恋愛的な意味で、妹可愛いって思ったぞ。
首を振り気持ちを落ち着かせ
一度顔をはたき妹と向き合うそして、妹の初めての彼氏として聞いた。
「そんでさ、付き合うってどうするんだ?」
情けなく聞く俺に対して妹は
「えーーー?とりあえずは一緒に学校行ったり、映画見たり、買い物したり、お茶したりじゃないかなー?」
漫画の様なテンプレデート、でもそれって兄妹二人で一緒に行ったとして、周りりからどうみられる? と考える。
「うーーん、まあとりあえずそれくらいなら、兄妹で行ってもおかしくない……かな?」
「たぶん?」
「そんじゃまず出来る事から、明日から一緒に登校しようか、でも学校と家じゃ出来るだけ普通にな」
「うん!」
こうして俺達兄妹の付き合いが始まった。
######
とりあえず仲の良い兄妹っていうスタンスで、付き合う事になった訳だが
突然イチャイチャ兄妹になれば、親も友人も変に思うよねと
いつも通りお互いの部屋に入り浸らないとか、学校や親の前では出来る限りいつも通りと軽く決まり事を作った。
前途多難な俺達の付き合いは翌朝から始まる。
いつも通り別々に起き、朝食を済ませ別々に家を出る。
妹が先に出てちょっと遅れて、俺が出て妹に追い付くって作戦
妹が前でとろとろ歩いている、ロックオンーーー
早足で追い付く寸前……
「しおりーーーーおはようーーー」
妹の友達二人が声を掛けてきた。
ああそうね君友達一杯居たねーーーー
遠い目で妹を見つめる。
俺を見た妹が一瞬悲しそうな顔をして、慌てて笑顔に戻し
友達に「おはようーーー」と答えたのを横目で見ながら追い抜き歩く。
後ろから
「今の栞のお兄さんじゃない?」と声が、さらにもう一人から
「えー栞とにてないねーーーてか普通?」
……ほっとけや!
付き合って最初のイベント、一緒の登校は失敗に終わった。
いつも通り、一人とぼとぼ歩き学校へ向かう、うう誰も俺には声を掛けてくれない……。
学校に到着、受験の時以来の学校
昨日入学式で貰ったクラス表と学校案内を見比べながら教室へ向かう。
クラスに入ると家の近所の高校だけあってチラチラ見た顔が
クラスに知り合いが居るかはさっきのクラス表に書いてあるはずだが、昨日からそれ所じゃなかったので、知り合いが誰か居るかは確認していない。
妹と一緒に登校しようと早めに家を出たので、教室はまだ閑散としていた。
席に着いて居ると妹が教室に入ってくる
「しおりーーーーおはようーーー」
閑散としているにも関わらず数人が妹に挨拶をしている。
ニコニコしつつ出席票番号順で貼られている名前の席、つまりは俺の前に座る。
「お兄ちゃんおはよう」
顔がひきつっているぞ妹よ、てか一緒に暮らしてるのに教室で挨拶はおかしくないか?
「ああ、うんおはよ」
という間もなく妹の回りに友達が集まる。
キャッキャウフフと喋り倒す妹の友達
相づちを打ちながらも俺の顔をチラチラ見ては頬を染める。
可愛いが兄をみて頬を染めるのはアウトだぞ妹よ。
すると俺の後ろから
「ゆうぅぅぅおはよおぉぉぉ」
とろーい口調で中学のクラスメイトだった
「おーー麻紗美も同じ高校だったんだー」
「そうだよおぉ、昨日クラス発表の紙みてえぇゆうと同じクラスだったからあぁちょっと安心しちゃったあぁぁ、わたしってえぇしゃべりトロイからあぁ、あんまり友達いないんだよねえぇ」
えへへと笑う麻紗美
ショートボブで若干ぽっちゃりと言うか、高1だというのにかなり主張している胸、目はたれ目で笑うと招き猫の様。
可愛いがトロイ喋りを気にしてか、中学からクラスでは控えめな存在だった。
俺とは中学2年と3年で同じクラス、席も近くどっちかというとボッチに近かったので、ちょくちょく話していたボッチ仲間、ってかほっとけ
「一年間よろしくねえぇ」
そういって自分の席に着く麻紗美を見送り前を向くと
どす黒いオーラを纏った様な気がする妹の背中が見える
「し、栞どうしたの?なんか顔が」
キャッキャウフフしていた友達の一人が妹の異変に気が付く
「ううんなんでもないよー」
妹がどんな顔だったのか、俺には見えなかった。
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