karma23 希望はここにある
琴海は動揺に
「何言ってんのよ、あんた……」
「私に課せられた罰は、試練だったのです。人の身に余りある力を授けていいかどうか、見極めるための」
「今日は月が綺麗ですね。神がはなむけをくれたと、思えてなりません」
「こうしてこの時を迎えられたことを、私は喜ばずにはいられません。最期まで、信じてきてよかった……」
夜の深みに眠る藍川の顔を覗き込んだ。心を飽和する、かの未来に想いを託すように、投げかけた笑み。
これからも、信じ続けることを誓おう。この誓いを永遠に刻む。この世界に。彼らが描く未来に。
「これから私がやることを信じてください」
琴海の表情はかすみがかり、不安入り交じりながら問う。
「なにを……」
「神は私を信じてくださった。だからこそ、私にこの力を与えてくださったのです」
琴海の瞳は感光したような景色を映す。
「……!」
奇妙な現象を見せる青い光は、ただ電気を発しているだけじゃないように感じた。吹き為す微風に煽られることもなく、光は球状にまとまり、輝かしい白を放ち始めた。
「
「まだ死ぬには早過ぎる。あなたを必要とする人はたくさんいるのです。そしてこの世界も——あなたを必要としている」
「あなたに、世界の希望を託します」
白い光の中、
琴海はあまりの眩しさに目を瞑った。辺りは優しい光で覆われていく。それは死臭漂うこの場を浄化しようとするほど、純に白く輝いていくのだった。
——————————。
光で塗り潰された夜。世界を照らすかのような光は、予兆もなく終わり、再び星々が小さな光をささやく夜となった。
琴海はおそるおそる目を開けた。
地に倒れた
動揺が巡る頭が沈殿するも、どうにか状況を把握しようとした時、清らかな空音に鳴るかすかな吐息を耳にする。出どころは近く。琴海の膝元で鳴っている。さっきまで息をしていなかった藍川は、静かな寝息を立てていた。
琴海は絶句し、倒れた
何がどうなっているのか、その場にいるにもかかわらず事の成り行きをうまく理解できない。体にすっかり染み込んでしまった疲れをずっしりと感じ始める。
すると、琴海の上で空を裂く音が響いた。黒い飛行物体が空を旋回しており、その下ではゆらゆらと浮かぶドローンが夜空を泳いでいた。
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