プレイッ!!◇笹浦二高女子ソフトボール部の物語◆✨Inning2✨
田村優覬
二回表◇心の扉を開く、勇気の合鍵―地獄の合宿編◆
ハイライトッ!!◇一回裏、笹浦二高女子ソフトボール部の物語◆
実況解説者―舞園梓「今日ココから、みんなと共に、再開しよう!」
みんな、こんにちは。
お久しぶりだね。また来てくれて、ありがと。
今回実況担当の、
早速、って言いたいところなんだけど……。
まずは、これまでのあらすじを復習していきたいと思うんだ。
まだ見てない人でも楽しめるように。
また忘れちゃった人でも思い出せるように。
じゃあ、いこう!
プレイッ!!◇笹浦二高女子ソフトボール部の物語◆
一回裏◇始まる伝統の一戦。乗り越えろ恐怖の一線―vs筑海高校編◆
ハイライトッ!!
……よし、出だしは問題ない。
九球目◇繰り返される、対戦相手◆
梓「
移動教室で一人歩いていた
現に、叶恵は
ソフト部員だって、出場可能選手が九人と出揃っていた。
なによりも……。
梓『やっぱり無理だよ……。復帰しても、復活できるとは限らないんだから……』
それがこのときの本音。六年前の悲劇に恐れ、ただ逃げることしか考えていなかったんだ。
一方の笹二ソフト部では、先日主将に任命された親友――
信次「
県立筑海高等学校。毎年県内上位に入ってくる、名門校としても名高いチームだ。
どうやら、夏蓮のおじいちゃんでもある
決して相手に不足はない……けど、
特に、叶恵の心に。
夏蓮『――だって筑海高校は、去年叶恵ちゃんが創った笹二ソフト部を、惨敗させた強敵だもん……』
それでも、対戦相手は繰り返されることになったんだ。
十球目◇梓の壁―ソフトボールへの責務◆
筑海高校との練習試合前日。
その晩に
別に、ソフト部に入るためにやっていた訳じゃない。一種の暇潰しとしてやっていたまでなんだ。
だって、引退した六年前から続けても、この
梓『やっぱりダメか……もう
壁に描かれたストライクゾーンには、ほとんど入らない。思い通りに、コントロールできていなかった。
それも全ては、小学五年生――笹浦スターガールズ時代のとき。六年前の悲劇が、トラウマになってしまったからなんだ。
梓『
その日までは、県内でも優秀だった
柚月「ねぇ梓? やろう、ホッとココア」
梓「あ、あぁ……」
投手の
バックには、ファーストの
現在では筑海高校の次期主将候補でもある、セカンドの
また、スタガの主将だった、ショートの
残念ながらベンチだけど、必死に応援を繰り返す夏蓮も含め、頼もしい仲間たちの前で躍動できたんだ。
ちなみに、当時のスターガールズ監督は夏蓮のおじいちゃんってことも、是非忘れないでほしい。
全国大会の準決勝。
あとアウト一つで、決勝に駒が進む。
だけど……。
――ガンッ!!
梓「柚月!? ねぇ柚月ってばァァ!!」
一つ目の悲劇――それは、ダイビングキャッチを
結果的には、
柚月「
代償の方が大きかった。
大怪我を負った柚月はドクターストップを掛けられてしまい、身動きもままならず、当時は車椅子生活を強いられたんだ。
それが、柚月がソフトボールを辞めた理由。
バッテリーを組んでいた
梓『もっと強くならなきゃ! 柚月みたいな怪我人を、生まないためにも!』
あのとき
そう考えることしかできなかった
梓『――本物の
余裕なんてなかった。むしろ追い込まれていたって、今ではわかる。
その結果、第二の悲劇――
――バリ゛リリィィィィッ!!
梓『――頭部への、デッドボール……』
怪我人が再び、
梓『――また、
もうこれ以上、誰も傷つけたくない。
六年が経ってもなお進めない
でも……。
信次「舞園ォォォォオオ゛!!」
信次「やりたいならやりたいで、いいんじゃないかな? みんな舞園のことを待ってるんだよ?」
梓「……だったらまず、
なかなか引き下がらない田村先生を打者にし、
梓「これでわかりましたよね?
信次「さぁどうした? カウントはまだワンボール! 一打席目は、まだまだこれからでしょ?」
それでも先生は、
いや、決して応援だけじゃない。
ソフトボール部監督者として、また現代文担当教諭のとして、温かい言葉まで。
信次「――だから頼っていいんだよ? 舞園だって、人なんだから」
屈折寸前な
信次「――だからこそ、乗り越えられない壁なら、ブチ抜いてやればいいんだよ!! 君の熱い魂が籠ったストレートなら、絶対にできるから!!」
そして、次なる一球は……。
梓「は、入ってる……」
信次「……ヨッシャー!! 入った入ったァ!! 入ったよ舞園!! やったよォォ!!」
先生のおかげで、六年ぶりにストライクを放つことができたんだ。ど真ん中、正真正銘なストライクを、全力ストレートで。
梓「グズッ……ありがと、先生ィ……」
信次「舞園……ボクは立ってただけで、何もしてないよ。舞園自身が、撃ち
柚月がデザインしたユニフォームも受け取り、明日の集合時間も知った。
背番号十一を、見るまでは……。
梓『――あの左バッターと、同じ背番号だ……』
大きな壁を撃ち破るも、恐怖の一線が残骸として顕在だった。
十一球目◇伝統の一戦、開幕ッ!!◆
夏蓮『梓ちゃん……今、どうしてるんだろう……?』
練習試合当日を迎えた、笹浦総合公園ソフトボール場。
夏蓮を始め咲や柚月、そして全ての部員たちも、
咲「せっかく梓のために、キャッチングの練習したのに……」
柚月「やっぱ、背番号が原因かしら……?」
夏蓮「梓ちゃん……せっかく、
夏蓮「あ、穂乃ちゃんだ……」
穂乃「笹浦二高さんに脱帽!! お願いしますッ!!」
期待を裏切る一方で、試合開始時間は刻々と迫っていた。
宇都木歌鋭子監督率いる筑海高校女子ソフトボール部が参上し、夏蓮たちは元チームメイトの穂乃と、対戦者として再会を果たしたんだ。
歌鋭子『――さぁ、始めようじゃないか。情け
穂乃『揺らいじゃダメ。今は試合なんだから……変えなきゃ、変わらなきゃ! 本物になるために!!』
さすがの威厳ある名門らしさには、笹二の部員たちも少し
夏蓮「――お、おじいちゃん!? そ、それに
信次「――き、
秀「やぁ。みんなの試合が楽しみで、観に来てしまったよぉ。みんな、ガンバってねぇ」
今回の練習試合を実現させた、夏蓮のおじいちゃん兼スターガールズ元監督――清水秀校長先生。
涼子「先輩をイジるな、
また
彩音「もぉ~! 月島さんも“ちゃん”付け禁止でしょ!? しかもタメ口になってる!」
それから
慶助「クゥ……早く帰りてぇ……。今夜だってシフト入ってんのによ~……」
しかも田村先生の知り合いで、ユニフォームなどの用具を配送してきたフリーター――
……まぁ色んな意見があったけど、四人のおかげで、みんなの強張っていた肩が
夏蓮「みんないくよォ!!」
――「「「「オオォォォォオ!!!!」」」」――
両チームの集合挨拶が交わされ、互いのボルテージも急上昇。
いよいよ、試合が始まった。
まだ
十二球目◇それぞれの想いたち◆
一回の攻防は、叶恵の投打躍動によって通され、一対零と笹二のリード。
訪れた四人の応援者が姿を消した中でも、みんなはそれぞれの想い胸に奮闘していた。
唯「へへっ!
そして二回表――先攻の笹二ソフト部は、五番の
けど……。
唯『――美鈴も知らねぇもんな……
美鈴『――
きらら「ニャハハ~!! 当たる気がしないにゃあ!!」
残念ながら三者凡退……てか、きららはホントにヤル気あったのかな?
ただ、三振した唯に
どうか、覚えておいてほしい。
攻守交代になれば、バッテリーの叶恵と咲。
咲『――月島さんは、どんな気持ちでいるんだろ……?』
叶恵「今は……ピッチャーは、
確かに、筑海の打線を沈黙させていた。でも、二人の呼吸はなかなか合ってなかったみたい。
マネージャーとして、ベンチから見守る柚月。また去年戦った宇都木監督にも、叶恵は注目と想いを集めていたんだ。
柚月『信じてるよ、月島さん! 試合は、勝つためにあるんだから!』
歌鋭子『――だが今は良くても、後々痛い目見るのは自分だぞ……?
初回から飛ばしすぎに見える叶恵。攻守共々、手荒さが際立っていたんだ。
けど、他の部員たちも次第に活躍を見せていく。
菫「やった! 初ヒット!!」
三回表。
一年生の
メイ「皆さ~ん!! やりマシタよ~!!」
同じく一年生の
夏蓮『スゴい……
三回表にも追加点を得た、笹二ソフト部。
チーム全体の雰囲気も快活に溢れて、個々の笑顔が多くなっていた。
たった一人、叶恵だけを除いて。
夏蓮「――勝たなきゃいけない理由……。叶恵ちゃんはこの試合、どんな気持ちで参加してるんだろう……?」
創設して間もない部だからなのか、チーム内の明暗が酷にも顕在だった。
その頃、
梓『ゴメン、みんな……。それに、先生も……』
誘ってもらえたにも関わらず、向かう勇気が湧かなかったんだ。いくらイップスがあるとはいえ、ホントに薄情だったと思う。
今日もまた、何もない無味無臭の生活を過ごすんだろって思ってた。結局何も変わらない、高校二年の日曜日を……。
そのはずだった。
――ピーンポーン……。
慶助「お嬢ちゃん、ちょっと来てもらいたいんだ。うちのボスが、是非ともお嬢ちゃんに会いたいんだとよ?」
彩音「さて、時間もないから、さっさと行きましょっか?」
涼子「――行くのよ、ソフトボール場! みんな、梓のこと待ってるからっ!」
梓「ちょっ! ンナァ~!!」
……いやぁ~怖かった。
如月先生と涼子先輩に手足を掴まれた
十三球目◆負けたくない訳――invisible jewels◇
作者
叶恵『――
試合折り返し地点。
笹二がリードする中でも、叶恵に油断の二文字は無かった。チーム内たった一人だけ、“勝たなきゃいけない理由”を秘めて。
そんな叶恵にも過去がある一方で、筑海ソフト部にも同じように物語がある。
それがこの三人。
弱気な速球派先発投手――
主砲としても名高い捕手――
控え選手兼マネージャー――
葦枝『合言葉は、“サンブンコ”……だよね』
今から三年前の、中学二年生当時。
関西から引っ越してきた葦枝は、決して華やかなスタートを切れなかったらしい。転校理由は“父親の転勤”が名目だったみたいだけど、実際はとてもデリケートな内容だったんだ。
葦枝『――引きこもってばっかで、不登校だったから……』
場所を変え、自分自身も変えたいと願って、茨城県に住むことにしたんだって。
でも……。
葦枝『――もう……学校行きたくない……グズッ……』
再び悪い流れが、彼女を飲み込もうとしていた。登校回数も徐々に減り、また不登校へ逆戻りを垣間見える。
そこで葦枝に手を差し伸べたのが、他クラスだったこの二人。
嶺里「……明日さ、三人で登校しようよ!」
雪菜「……フフ、そうねぇ。運命……かもしれないわね」
幼馴染み関係の嶺里と雪菜に、葦枝は初めて知り合った。
最初は会話が弾まない日々だった。けど、三人の絆が次第に深まっていく。
ある日には、米農家を営む嶺里の家をいっしょに手伝ったり。
嶺里「――葦枝だって、大切な一粒だから。あたしらにとっても、この世界にとっても、無駄なんかじゃないから」
ときには、成績優秀な雪菜が開いた勉強会に参加したり。
雪菜「……フフ。言ったでしょ? これからも三人で、たくさん思い出作ろって」
陰鬱だった葦枝にも陽が射し、やがて三人で筑海高校に入学した。今まで抱けなかった、確かな勇気も握って。
葦枝「――ぅちもやる! ぅちもソフトボール部、入るよっ!」
素敵な友情だよね。
でも、現在は笹二との対戦中。
五対一のリードされている状況とはいえ、
歌鋭子「やればできるじゃないか、お前たち。さぁて! ここから反撃といこうじゃないか。打順は一番の花咲から……筑海の実力、今のお前たちで見せてやれ!!」
主将候補の穂乃を中心に円陣を組み、名門たる反撃の
穂乃「初心忘るルべからず!! いくぞォォォォ!!」
――「「「「オ゛オォォォォォォォォオオ゛ッ!!」」」」――
十四球目◇あの日の忘れ物――Ace to Joker◆
リードを四点と広げてきた笹二ソフト部には、初勝利が近づいていた。
だけど……。
夏蓮『――この試合初めての
叶恵『どうしたのよ?
ここまで走攻守で躍動してきた叶恵にも、スタミナの限界が訪れていた。無理もないよ。投球数は既に九十を超えてるし、正直クタクタなはずだ。
でも、笹二には控え選手がいない。叶恵は持ち前の気合いで乗り越えようと、四番打者の嶺里に必死に投げ向かったんだけど。
叶恵『――満塁、ホームラン……これで、同点……』
夏蓮『ダメだ! 叶恵ちゃんを、少し休ませてあげなきゃ!』
五対五の振りだしに戻った展開。そこで夏蓮はタイムを掛け、叶恵に僅かな休息を与えようとしたんだ。
ただこれが、チームに亀裂を走らせてしまう。
叶恵「――こんな寄せ集めの素人たち、それにブランク持ちの経験者を信じろだなんて……無理に決まってんじゃない」
唯「おいテメェ!! 今のどういう意味だよッ!?」
咲「――っ! ご、ゴメン……」
夏蓮「叶恵ちゃん……」
美鈴「唯先輩はもちろん! それに清水先輩や中島先輩にだって! 同い年だからって何でも言っていい訳じゃないっす!!」
一致団結どころか、空気を底まで悪くした叶恵。確かに言い過ぎだけど、それほどまで極限状態だったんだ。
主将の夏蓮でもお手上げな騒然状態……そんなとき、田村先生自ら叶恵へ歩み進む。野球のマウンドとは違い平坦で、守備人と目線を揃えられるピッチャーズサークルへ。
信次「――“心を一つにしやすいスポーツ”だと、意味してる気がするんだ。ピッチャーズサークルのように、中心に投手を置いて、一人一人が繋がって囲むように……」
叶恵『――独り善がりな勝利よりも、仲間たちと繋がる絆こそ、最高の
先生の言葉には、さすがの叶恵も気づけたみたい。
激情した唯たちも落ち着き、余力が生まれた叶恵は再び放り始める。信頼の証も
叶恵「――信じて投げるわ、咲!」
咲「――っ! ……うん!! 叶恵!!」
初めて呼び合った、互いの名前。それは叶恵を中心に広がり、まだ全員がそうじゃないけど、新たな絆が生まれていく。
叶恵『初めてだった……あんなに楽しく、投げられたのは……。あんなに信じてくれる、仲間たちは……』
何とか勝ち越しを阻止し、試合はついに最終回へ。
ただ、
梓『やっぱり、行きたくない……』
車内の
でも……。
慶助「――やり直すってことよりも、まずは立ち上がることを考えなきゃいけねぇんじゃねぇか……?」
田村先生の心情も公にさせた、大和田慶助さん。
秀「そのユニフォームはねぇ、柚月ちゃんが、梓ちゃんをモデルにして作ったんだよぉ。青色が好きな梓ちゃんに、一番似合うようにってねぇ」
背番号11の理由と蒼きユニフォームを説明した、清水秀校長先生。
彩音「はい、これ。昨日、中島さんから受け取ったの」
笹二ソフト部員たちの想いが載る色紙を渡してくれた、如月彩音先生。
涼子「ということで、はい梓!」
最後に泉田涼子先輩に渡された物。
それは
そう……。
梓『――
六年前、頭部死球を投じてしまった際に置いてきたグローブ。しかも綺麗なままで、誰かが手入れしてくれてたみたい。
今まで誰が保管していたのか……それを知ったことで、
秀「――夏蓮だよぉ。あの日から今日までの六年間、ずぅ~っとねぇ」
梓『みんなが
恐怖全てが取り払われた訳じゃない。でも、人としてできること……こんな
梓『――もう二度と、誰かの想いを裏切ったりはしないッ!!』
七回裏――ノーアウトランナー一三塁。
点差は三点と迫っていた。このとき、叶恵の左手負傷により、練習試合続行が困難になってたんだ。
……間に合って、良かった。
夏蓮「――梓ちゃん!」
梓「よ、よろしくお願ヒしますっ!!」
裏返っちゃったけど、みんなから歓迎されたんだ。夏蓮を始め柚月と咲、唯ときららに美鈴、菫や凛からメイ、そして叶恵にも。
叶恵「――不細工なピッチングだけは禁止だからね?
あとアウト三つ。
やっと
夏蓮「かがやけぇぇぇぇッ!!」
――「「「「笹二ファイトオ゛オォォォォッ!!」」」」――
十五球目◇ココから◆
――「ストライク!! バッターアウト!!」
梓「よしっ」
出だしは順調に向かい、まずはワンアウトを奪取。
残るは、アウト二つ。確かに勝利は間近だった。
でも、そう簡単に事は運ばなかったんだ。未だに切り離せない、トラウマのせいで。
梓『――っ! 左、バッター……』
ボールカウントが増えてしまい、コントロールが乱れ始める。失点にも繋がり、気づけば一点差の満塁。
情けなかった……やっぱ
そう考えた刹那、頼もしいキャッチャーが心を救ってくれたんだ。
咲「アタシとで良かったらやろう! ホッとココア!」
六年前のルーティンを思い出させてくれた咲。ホントに助けられた。
梓『
決して咲だけじゃない。
部員のみんなが、
梓『
最高の絆で結ばれた仲間たちに包まれた
梓「ヨシッ!!」
――「「「「ナイスピィィィィッ!!」」」」――
アウトはあと一つ。
ここでバッターは、元笹浦スターガールズの同級生――花咲穂乃。
でも、穂乃自身も
穂乃『わたしが打ったら、夏蓮たちみんなが悲しむ……でも、わたしが打たなかったら、筑海のみんなが残念がる……』
何度もファールを飛ばし、最終打席を粘る穂乃。その胸中には、二チームを歩んだ少女の迷いが根付いてたんだ。
親友がいる笹二のために凡退するか。
筑海主将候補として打ち込むか。
そんなとき元スタガ主将は、当時打撃練習に付き合ってくれた恩人でもある、現笹二主将に告げられる。
夏蓮「――変化はね、進化へのチャンスなんだよ? 穂乃ちゃんなら、きっとわかるはず」
この一言が、
梓「――だから、変化に背いて立ち竦むこと自体が、
穂乃『“真剣勝負に、同情して手加減することこそが、一番の
また穂乃には、名門筑海の
わかっていても当たらない全力ストレートが勝つか。
どんなボールも弾き返すアベレージヒッターが勝つか。
梓&穂乃『『絶対に終わらせる!!』』
ツーアウト満塁――伝統の一戦がついに決着。
その結果は……。
梓『――サヨナラ、負けだ……』
ショート菫の決死なダイブも、ファンブルで収められず。
瞬間にサード唯がボールを拾い一塁送球するも、ファースト美鈴のジャンプが届かず後逸。
この時点で同点に至った頃、サヨナラの走者は本塁一直線。
同時に、ライトからファーストカバーに動いてた夏蓮がバックホーム。
でも、間に合わなかったんだ……。
梓「
快活な雰囲気に包まれた筑海とは裏腹に、笹二の空気は重かった。
夏蓮「やったやったぁ!
最初は
信次「――ハハハ! みんなで、負けちゃったね!」
そう、このみんなで。
最高の絆で結ばれた仲間たちと、いっしょに。
梓『負けて終わりじゃない……負けた後、次に備えなきゃいけない……諦めちゃ、いけないんだ……』
敗戦デビューとはいえ、繋がりが深まった笹浦二高女子ソフトボール部。
そんな素敵なチームに、ついに
信次「ようこそ!」
――「「「「笹二ソフト部へェェェェ!!」」」」――
梓「あぁ! 今日ココから、是非よろしく!」
……ということで。
大雑把だけど、一回裏のハイライトでした。
長ったらしくて申し訳ないけど、最後まで聞いてくれてありがと。
そして今日から、
部員数が十一人になり、更なるレベルアップを求める笹二ソフト部。
また
何よりも、切り離すことができない過去からの因縁……。
特に、唯が……。
でも、
たとえ乗り越えられない壁だとしても、ブチ破ればいいんだから。
輝く未来へ……みんなと突き進むことができるって!
それでは、
プレイッ!!◇笹浦二高女子ソフトボール部の物語◆inning2
今日ココから、みんなと共に、再開しよう!
せぇ~のっ!
――「「「「プレイッ!!」」」」――
ふぅ~……まずまず、かな(〃⌒ー⌒〃)ゞ
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