5.『恋する心理学 ~東京都月並区月並恋愛相談所~』 著:真野絡繰 ジャンル:ラブコメ

※本稿は『§07 命を吹き込まれた彫刻』までを読んで書かれたものです。


 如何せんスマートニュースコンの募集要項が募集要項だからか、作品タイプに偏りがあるなぁという感じが拭い去れない。「大人が読む」みたいな一言って正直余計だったと思うんですよね。


 何が言いたいかっていうと、本作はスマートニュースコンの求めるところをくみ取った一つの形なんじゃないかなぁって話。


内容としては大体が概要にある通りです。そこから外れていくのは多分これから。心理学の知識を差し込みつつ、基本的にはストーリー運びに重点を置いて、そして「大人が読む」という言い方をある程度「すなおに」解釈すると出てくる結論になる、社会人たちの話。ライトノベルやら漫画というよりは、どっちかといえばドラマ的な様相を呈する作品である。というのがファーストインプレッションです。そんなにドラマ見ないんですけどね。


単純に良いところは、知識知識してないところでしょうか。この手の話ってどうも「遠目から見たら参考書」みたいな形になってるのが多くって、それはそれで面白いこともあるんだけど、そればっかりになるとつまらないので、そうじゃなかった、というのは個人的には良いと思ったところでしょうか。知識はもちろん差し込みますが、それはあくまでスパイス的な存在であって、メインにどっかりと座るストーリーを引き立てるにとどまっています。


そんな訳で、コンテストの要求を「すなおに」満たした、という意味では出来がいいのかなぁと思いますし、減点法的に行けば減点されることはないのかなぁという感じがします。

 

一方でこれといった加点ポイントがないのも気になるところではあります。言い方を変えるなら「ここすっごい強い」ってところが少ないといえばいいんでしょうか。女性主人公+社会人という自分の中でフィットしない視点なのもあるのかもしれませんが、もう一押しが欲しいなぁというのが個人的な感想。


ここばっかりはどうしたらいいとも言いづらいので何とも。強いて言うなら「キャラクター」個人にフォーカスするならもう少し深さが欲しくって、「物語」にフォーカスするならもうちょっとつながりが欲しい……って感じでしょうか。多分目指しているところは前者だと思うので、キャラクターでしょうか。ただ、これも今後次第なところはあるので、間違ってるかもしれません。


後はまあ、別に向こうの論理に乗らなくてもいいんじゃないかぁというのが個人的な感想というか願望。なんか、嫌なんですよ。何ですか「大人が読む」って。そんな設定するから社会人舞台の作品ばっかになっちゃってますよ。本作とはあんまり関係ないといえばないのですが、うんちくと物語のバランスがいいだけに、向こうの作った「いらない枠組み」のない舞台で見たかったかなぁとか、思ったり思わなかったり。


あ、後、ジャンルはこれ、ラブコメじゃないですね。いや、一般的なラブコメならあってると思うんですけど、カクヨムだと、ラブコメって男主人公だけの分類だった気がするんで。ほんと、なんなんだこの分類。分かりづらい。この指摘するの、二回目ですよ。


(作品URL: https://kakuyomu.jp/works/1177354054885352247

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