第9話 台風
「ヒュー!バターン!」
台風が接近している影響からか、風が強い。
「屋根とか飛ばされないよな…。軽く固定しただけだから、台風の中心に入ったら飛ばされるかもしれない。今更、業者さん呼べないしな。」
外に置いてある野菜などを育てているプランターや自転車などは空いていた倉庫に無理矢理詰め込んだが、TVのアンテナなどは軽く固定しただけ。
「皆さん、不要不急の外出は避けてください。外は風がかなり強いので飛来物などで怪我をしてしまいますので。」
住民に内線放送で呼び掛けた。
「食料、どうしましょうか?管理人さん。」
この日、料理担当の住民が冷蔵庫や食品庫を見るなり、飛んでくる。
「非常用のカップ麺とかはあります。でも、そんなに数はないですね…。住民全員に提供は困難かと。夕食はカップ麺で皆さんには我慢してもらうしかないですね。台風は明日の朝までには通過してると思いますので明日の朝、買いに行きましょう。今は危険です!」
と注意。非常用の食品庫からカップ麺(ラーメンやうどんなど)や乾パンを出して、分け合った。
数時間後…
「高いところへ早く避難!近くの川が溢れた!」
外から、緊迫感のある大声が響く。
数分後、シェアハウスの玄関を激しく叩く音が聞こえ、扉を開けると数十人くらいの近くの住民の方々が居た。
「すみません!川が溢れてしまったので、一時的に避難させて頂けませんか?」
「とりあえず、中へ入って!こういう時こそ助け合わないとダメですからね。
寒くないですか?」
助け合わないといけないと言う正義感が勝り、シェアハウスの中へ地域住民を入れ、毛布を差し出した。
「そういえば、避難指示って出てました?」
「この地域は避難勧告が出てたと思います。防災無線でも放送していたんですが、雨音に打ち消されて聞きにくかったですね。だから、分からなかったのかも。」
激しい雨音の影響で町の防災無線の音声が遮られて聞こえにくい状態になっていたらしい。
もし、地域住民が叫んでいなかったりシェアハウスに避難をして来なかったら危なかったかもしれない。
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