第7話
「さっきから……いったい何を?」
「さあさあ、先ほどから花嫁が、首を長くして待っていますよ。早く行っておあげなさい」
糸居が呆然と老人を見ていると、体格の良い二人の男に両脇を抱えられた。
「ちょ、ちょっと!」
男は糸居の声など届いていないかのように、糸居を引きずるようにして歩き出した。
糸居は抵抗したが、無駄だった。
体格もごついが、どんな鍛え方をしたのか見た目以上の力を男達は持っていた。
廊下を出てそのまま進み、突き当たりに着いた。
そこだけ戸が障子や木戸ではなく、頑丈な鉄の扉だった。
老人が大きな鍵を何処からか取り出し、扉を開けた。
その中は広い板間となっており、中央に布団が二組ひかれていた。
そしてその布団の上に、そいつはいた。
文金高島田を来た花嫁姿の女が。
女は糸居に背を向けていて、顔は見えなかった。
が、やがて女がゆっくりと振り返った。
それを見た糸井の心臓が飛び出しそうになった。
角隠しの下にあるその顔は骸骨、しゃれこうべだったのだ。
老人が冷たく言った。
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