探偵少女は推理しません!!

朝比奈ゆかり

第1章 VSエリカさま

第1話推理しない女子高校生現る!

今から20年前、男児が突如、いなくなった。

土曜日の昼間――、デパートに買い物に訪れた最中、何者かに誘拐されてしまう。すぐに警察に捜索願を出し、公開捜査が行われたが未だ発見に至っていない。


男児は静岡県出身の当時7歳の男の子である。


雨が降っていた。


「未解決事件に挑む!!生放送3時間スペシャル!!」と題したバラエティ番組が放送されることになった。番組プロデューサーが慌ただしく動く中、楽屋には一人の女が居る。


「すみません、エリカ様」


エリカ様と名乗る自称、霊能力者は真剣な眼差しでテレビ画面を見ていた。今から20年前の事件を透視する、事もあり彼女は真剣だった。


「どうでしょうか?」

「必ず、放送中に事件を解決させて差し上げましょう!!」


エリカ様は言った。


「ありがとうございます」


そして番組が始まる。



某所、テレビ局に一人の女子高校生が自転車でやってきた。肩までかかる髪を揺らし、悠然とペダルを漕ぐ少女――


「生放送か、楽しみだな」

「楽しみじゃないですよ、どうして大晦日の日にこんな場所で」


隣には相棒である男子高校生がいた。名前は良太である。


「良太くん、君は霊能力を信じるかい?」

「霊能力ですか?」


良太は首を傾げた。


「今から本物の霊能力者に逢えると聞いて、わくわくしているんだ!」

「あなたは観客なのですから、静かにしててくださいよ」

「わかってる」


こうして僕と彼女の推理劇が幕を開けた!!

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