第34話 記憶力皆無

「将悟ー。お前さ、最近誰の相談のった?」


昼休み会話の流れからこういう話になった。

最初に言ったのはトムだった。


「えーっとね。隣のクラスの夜行ってやつかな」


将悟の記憶を辿ると、トムを置いてけぼりにした次の日だった。それを思い出した将悟は少し焦る。


「へー。確かね。その夜行ってやつ、しばらく学校来てないんだってさ。なんでだろね」


「そーなんだー」


トムの顔色を伺いながら答える将悟。このことを思い出されたら厄介だ。


「でさ、先生に聞かれてんだよね。最後に見たのはいつだってね。俺、そいつと元同じ中学だからさ」


将悟はかなり焦る。何かをきっかけに思い出されたら本当に厄介だ。言葉を選びながら慎重に話す。


「たしか、、、六月十日だったけな」


「へぇー。ありがと。じゃあ俺、先生に言ってくるわ」


とそう言い残すとトムは教室を出て、職員室に向かった。


(あ、あぶねー)

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