第43話
翌日、学校に行って女子の様子を探ってみると確かになんか話題になっていた!しかし、そんなことよりも頭の中ではソラノとの戦い方をイメージしていた。授業中もそのことが頭から離れなくて集中できなかった。実際、ソラノの攻撃がどういう風に視えるのか想像もつかず、どう立ち回ればいいのかわからなかった。だが、桜にも大丈夫だと言ってもらえたし、なるべく自然体で行こうと思った。
「じゃあ翔ちゃん応援してるからね!」
あっという間に学校は終わっていた。リリが背中に軽くタックルしてくれて元気に声をかけた。今すっげぇ柔らかかった!何あのタックル!前から見たかった!!!
「緊張するなよ!翔ちゃん!」
「わかってる……ありがと。また後でな」
「うん!」
リリと校門で別れると、あとは一直線に帰って準備をして桜の家に向かうだけだ。
桜の家に着くとインターホンの位置に昨日貰ったアプリを入れたスマホをかざすと、門のロックが解除された。すごい!自分の家は普通の鍵だからこれだけでも感動!そして玄関へ。
玄関のドアにもスマホをかざすところがあって、さっきと同じようにする。
すると鍵が開いた!遠慮なく家にお邪魔する。
エレベーターを呼び出し、乗る。なんか一人でやると新鮮だなぁ……。
三階に着くと桜の部屋でそのドアを開く。
と、桜はいなかった。
「あれ?」
部屋を見まわしていると脱衣所のドアが開く。
「あ」
「あ」
そこにはインフィニティのロゴが入った白いTシャツを着た桜が立っていた。下は何も履いていないかと見せかけてショートパンツ履いてる奴ですね!知ってます無駄にドキドキさせる奴ね!でも足最高ありがたや!!
と思ったが、桜は脱衣所に逃げ込んでしまった。
「来るの早くない!?」
部屋の向こうから大声で言う。
「ちょっと早いくらいだろ。ていうか、何でそんなに逃げんの」
「……」
「もしもーし?」
「ちょっと部屋出て……」
「なぜ……」
俺はそう聞き返したが、ちょっと部屋を見渡すとわかった。PCデスクの上に黒い下着が置いてある!!!!!!!!!ショートパンツどころかマジで履いてない!!!!チクショウ!!もっとちゃんと見ておけばよかった!!!!バカ!俺バカ!!!
「あ、あ~?わかった!出るぞ!出る」
平静を装うつもりが変な声で言ってしまった。
「さっさと出ろ!!」
俺は早々に部屋を退出した。部屋のドアを閉めると、向こうから、脱衣所のドアが開く音がした。つまり今まちがって部屋に入ればもう一度見られる!!!
と、思うじゃん?今部屋のドアの鍵がかかる音がした。ですよねー!!!俺でもそうするわー!
しばらくゴソゴソと聞こえると鍵が開く。
ん?入っていいのか?
「もう終わった?」
俺が様子を窺おうと立ち上がると勢いよく桜がいまだにTシャツを着たままドアを開けてエレベーターに飛び込んだ!着替えが下にあったのか!ち!エレベーターを下まで降ろしておけばよかった!!そしたら呼出しの間、仕方なく見れたものを!仕方なく、仕方なくね?
やることもないので冷蔵庫の中の物を整理していたりすると桜が着替えて上がってきた。しかし今日は制服ではなかった。さっきのTシャツにジップアップパーカーを来てショートパンツを履いていた。何故か顔真っ赤。
「今日制服じゃないのな」
「さすがに毎日は着れんやろ」
あ、これ怒ってますね。
「たしかに」
「あなたね、来るときは来るって連絡して……」
「お、おう……気を付ける」
鍵渡されたら渡されたで怒られてしまったでござる。
「で?何してるの……」
「いや、冷蔵庫見たら期限切れてるプリンあったから期限チェックを……。あんた腹壊すぞこんなにしてたら……」
食い物の半分くらい期限切れてたし。
「……」
桜は口を尖らせる。何がご不満なんでしょ?
「なに?」
「……うるさいっ。そんな事より試合でしょ!」
「はい、そうですね」
そう言って立ち上がり、期限が切れているものをゴミ箱に入れた。いや、ちょっと切れてるくらいならいいんだけど一か月くらい切れてたよ?ほんとこの子食生活大丈夫かしら?引きこもりの割には痩せてる方だと思うし……。もしや食べない方の引きこもり?これはご飯も作ってあげた方がいいのかな。
そんなこと考えていると、桜は俺にタイツを渡してきた。あ、そうか今日は俺が戦うからねぇタイツあった方がいいもんね。
「余計なことは考えなくていいから、勝ってきなさい」
「はいはい、王様」
「王様ぁ?」
「あ、失礼しました!」
あ、やべ、いつも思ってることが!
「はぁ……まぁいい。頑張って……カレンさん達も応援してくれるんでしょ?私も一緒に観てるから」
「おう、ちゃっちゃと勝ってくるわ」
「うん」
最後に何かアドバイスとかないんですかねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます