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「どういうことだ?」
塔は秀介に訊いた。
「俺たち、なんでここにいるかわからないじゃん。もうこんなところでてやろうぜ」
ラウンジには、ターコイズブルーの坊主頭の女性と長髪で鼻ピアスをした男もいた。
「いや、どうやって」
「俺に、策がある」
鼻ピアスの男が言った。
「君は今回の受賞作の二作に関して不満に思っているようだけど、君は作品を読んだの? 確かに、ネットを見ると民意は違うところにあったように思う。でも、作品を読んだらわかると思うけど、受賞作は候補作より優れている。特に『おらおらでひとりいぐも』の方は。だから、君は本を読んでから評価をするべきだ。そんな作家の名前や下馬評だけで予想するのはやめた方がいい、それと――」
「――というわけだ」
塔はその話を聞いて現実離れをしていると思った。しかし、興奮もした。もうしかしたらそれならここから出られるかもしれないと。
「実行は明後日の夜だ。わかったな」
「お、おう」
二人はアイスティーのカップを付き合わした。
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