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少女と母親はガラス越しに外を見ていた。塔もその横で外を見ていた。空は晴れていた。高い建物がなく、外は風が強そうであった。
館内放送が流れる。
「消化器科、奥泉先生。至急、サポートセンターに来てください」
奥泉は塔の主治医である。名前を聞いた時には集中が切れて廊下を探してしまった。
「ねぇ、人がたくさんいるのはなに?」
母親の方を見たわけではないが、顔が引きつったような雰囲気がした。
遠くの方の喧騒が聞こえる。
「そうだ、お菓子を買いに行こう」
母親は慌てた様子で子供を連れてその場を立ち去った。
夜になり塔は部屋に帰るとなにも変わらない一日だったと思った。
ふと机の上の見ると手紙が置いてあった。差出人の名前はなかった。薬を飲み寝る準備をして寝る。「明日」こそはここから出たいと思った。
なにも変わらないはずはないと思った。
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