112.テンプレ展開って悪いもの?
「異世界転生することになったんだけど、俺の知っている異世界転生じゃなかった」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881788959
まあ、自分でこんな作品を書いておきながら言うのもなんですが、テンプレ展開を嫌う人は多いですよね。(私も一時期否定派でしたが)
ざっと挙げるとするなら(一応言っておきますが、悪意はありません)
・「レベル」「ステータス」「スキル」があるゲームに似た世界
・なぜか主人公に惚れやすい女性陣、並びにハーレム展開
・最弱と思いきや最強(使えない能力が最強性能だった系)
・主人公の過剰な持ち上げ
・ほぼあらすじに近い、尋常でない長さを持つタイトル
・「○○が異世界で無双する」「○○かと思ったら最強でした」「おっさんが○○」系のよく見るタイトル。
・やれやれ系、何かやっちゃった?系(常識知らず)主人公
・神様の手違いやトラックに轢かれて死んでの異世界転生
・以前の生活で冴えない存在だった人物が環境が変わった途端に無双
・ニート、引きこもり、社畜からチート存在(救世主や魔王)へ
・努力なしで最強能力付与
・ゴブリン、ドラゴンなどお決まりのモンスター
・中世ファンタジー
・文明が異常なほど低レベル→主人公の持ち込んだ文化で「すごい!」系
挙げていたらキリがなくなってきたのでこの辺にしておきます(汗)
さて、本題です。
現在の私は特にテンプレを悪だとは思っていません。そりゃ毎回同じようなものが出てきたら食傷気味になるのは私もそうですけどね。
そもそも、世の中の創作はある程度構成にまつわるネタが出尽くした感がある気がします。そりゃわかっているだけでもギルガメシュ叙事詩から四千年近く創作を続けているんです。いろんな発想が出てきますし、それを生かした物語も色々と考えられるでしょう。
それがネットを介して情報が一気にあふれかえり、一か所に集まれば当然同じ発想を持つ作品もあふれかえることになります。その中で需要の高い物が主流になって行くのも当然でしょう。
中には、王道ファンタジーものであっても用いられる「テンプレ展開」だってあるでしょう。ライバルが味方になるとか。
さてテンプレの話ですが、そもそも「テンプレ」と言われるほどです。そのネタは多くの人々が当然のごとく使うほどに普及していることになります。
つまり、それだけ多くの人がそれを求めているということになるのではないかと思います。
確かに「テンプレ展開は嫌だ。私は自分なりの作品を作る」という意気込みは大事です。逆にある程度のテンプレートを用いず、自分で一から組み立てるのはかなり難しいですからね。その発想もいわゆる「テンプレ」が目に付くほどにそこかしこに存在しているからこそ生まれた考えとも言えます。
思うに、創作をするにあたりその人が何を書きたいのか、その違いがこのようなものを生むのではないでしょうか。
テンプレ展開は、作品を作る上で作られる主人公の置かれている環境、周囲の人間関係、強大な力を持っている理由などなどが、ある程度お決まりのパターンになっています。そしてこちらは物語構成上必要ないこともあります。
作る際には説明するのに面倒であり、読み手側もしっかり読む前提として押さえておかねばならないので最初からリソースを割かれてしまいます。
それが、「トラックにひかれて目が覚めたら神様によって別世界に転生させてもらえた、そしてそこで生きていくために必要なスキルをもらった」
やや雑ですが、これである程度の流れは固まります。あとは不慣れな世界に来たばかりで現地の価値観にそぐわない行動をすることで序盤から「事件」を起こせます。そこでヒロインと出会い、自身の得た力の能力が発現すれば「その世界での動き方」を教えてもらえます。
実にスムーズです。奇をてらった展開よりよっぽど読者側に優しいです。
なので、テンプレ展開と言うのはどちらかと言えばエンタメ寄りと言えるのかもしれません。需要が多く、たくさんの読者をより楽しませる事に特化した作りです。当然テンプレの要素自体も先に挙げた通り山の様にありますのでそれをどう用いるのか、その中にどれだけ自分の要素を入れるのか、そこに独自性が生まれてきます。
ただし、多くの人の目に触れるという作り手側からするとありがたい要素を得られる反面、同じような要素が大量に並ぶため、その中で頭一つ抜けるのは至難なのかもしれません。
一方で、テンプレから外れた作品を書こうとする人はよりリアリティを追求した物を作りたいのではないかと思います。登場人物を一人の人格とみて、より深く掘り下げ、その人物や世界の成長を描くことで一つのメッセージ性を読者に伝える。これが求めている物ではないかと思います。
これを作ると終盤に全ての伏線が集束し、主人公たちの戦い・葛藤の果てに大きなカタルシスを起こすことができます。ただ、そこに至るまで読者に長いお付き合いを求めることになります。
序盤から世界観、周囲の状況、魔法やらのファンタジー要素、その物語の目的がどこにあるのか、それらを早いうちに示してその物語のゴールや魅力を最大限に押し出していかないと読んですらもらえない可能性だってあるわけです。伝え方を誤ればその前にブラウザバックの可能性もあります。
こちら側の作品を作る側はかなり構成が凝っていることが多いので、それを受け入れてもらえるかは大きな試練とも言えます。
面白いのは確実でしょう。ですが、「最後まで付き合ってくれる人」はそうそう現れません。むしろそれはあなたの「ファン」と言えます。
ファンならばある程度の耐性があるでしょう。ですが、単純に楽しみたいと考える読者にそれらが受け入れられるでしょうか。
ストレス展開を嫌う読者についても以前書いたことがありますが、確かに爽快・痛快な展開を求めて読み始めた作品が陰鬱になるようなものであれば回れ右するのもわかります。
いえ、別に書くなと言う話ではありませんよ?
現に私も書き続けていますから。
こちらで大変なのは「それをどうエンタメに持っていくか」と言うことです。テンプレ側は多くの人の需要、楽しませる要素が最初から随所にちりばめられています。つまり、ある程度エンタメであることが保証されています。これはある種の完成形ともいえるのかもしれませんね。
それに対して、非テンプレ側は独自の設定が多いため、それを多くの人が好むものに調整していく必要があります。昔と比べて作品に見切りをつけて別の作品に乗り移ることが容易になった時代で、読者を最初から掴む動きはより大事になっています。
「読者に
なら、多くの人に好まれる様に情報をどう出すかを検討することはできるのでは?
きっとあなたの作り込んだ世界は面白いのでしょう。心躍る展開が待ち受けているのでしょう。それ自体は自信を持って良い、誇っていいのです。
神話があるならそれをもっと生かせる場面はどこか。
主人公の登場をもっと爽快感のある場面にできないか。
もっと効果的に魔法体系を説明できる展開を用意できないか。
国家間の関係があるならそれを説明するは地の文か、キャラの台詞か、それとも序盤か、中盤か、それぞれに適する使い方がきっとあるはずです。
作品に愛着があるのは分かります。ですが、それをよりよく成長させられるのも作ったあなた自身です。我が子を最大限に魅力のアピールができるようにプロデュースするのも自分しかできないんです。
自身の作品をエンタメに昇華させてください。
作品を完成させてください。
その経験を積み重ねて、物語と共に自分を成長させましょう。
おっと、いったい何の話をしようとしていたのかわからなくなってきました(汗)
まあ、テンプレ展開だって悪くないってことです。人を楽しませるコンテンツとしてはかなり上等ですよ?
学ぶことは多いと思います。
嫌いな用語がタイトルに入っているからって回れ右する必要はないのです。まずは読んでみては?
それを、自分が書くかどうかは別ですからね。
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