46.自分を底辺とは言わない

 創作を始めた頃から心に留めている言葉があります。


「言霊」です。


 趣味と仕事柄、日本史関係に詳しくなることもあり、神や心霊関係も興味があったため、スピリチュアルなことには割と畏敬を持っています。アニミズム(精霊信仰)に近い部分もありますね。中でも言霊は日常生活に最も密着しているものの一つと言えます。

 私たち書き手はその言葉で世界を構築し、人を動かし、心を操ります。そして紡ぎ出した物語を通じて何かを訴えます。それは人に届き、震わせることもあります。だからこそ言葉の使い方は気を付けなくてはならないと思います。使い方次第で容易に人を傷つけることもできます。人より語彙が多いということはそれだけ言葉の武器も多いという事ですからね。そして、それは自分に対しても適用されます。

 個人的なこだわりですが、特定の場面を除き、自分の作品を「拙作せっさく」と言わないようにしています。また、自分のことを「底辺作家」と決して言わないようにしています。もちろん立場上、へりくだる必要はあるので絶対に使わないわけではありません。ですが、自分をあまり低く見るような言葉は使わないよう気を付けています。自分が底辺と言ってしまうことで「それじゃあ自分なんて……」と思う人がいるかもしれない。そう考えないとしても自分自身はある程度力が付いていると実感していて、書籍にも作品を載せた立場でその言葉を吐くことはあまり良くないように感じています。

 確かに受賞歴一度、単独書籍化はまだという、まだまだ作家としては足りないものを多く抱えているとは自覚しています。ですが自分の力を過信しないことと、自分の力を低く見ることは違います。いつまでも自分を底辺と呼称していればいつまでも上にたどり着けないような気がしているのです。

 書籍だけで食べていける立場ではないのですからまだまだ努力中。それでいいじゃないですか。自分の力が足りていないことを自分がちゃんと理解していれば先へ進めます。まずは自分が満足のいく表現に少しでも近づくことができているか。成長を実感できる時を一つでも増やせたか。そこを目指したいです。


 それに、小説は長い時間を作業するので、できるなら前向きに書いて行きたいですからね(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る