一口話 私には見えた。
『オーメン』って、ご存知でしょうか。1976年の、アメリカ映画なんですけれど。「666」という痣を持つ、悪魔の子供を巡るホラーです。続編が何作もあったり、テレビドラマシリーズ化もされたという、結構有名な作品だそうで。昨日この『オーメン』を観たんですけれど……。
冒頭の、交通渋滞でのシーンをご存知な方はいらっしゃいませんでしょうか。あの、ガソリンか何らかの油が、ポイ捨てされた煙草により引火して、交通渋滞に巻き込まれていたおじさんが、爆発してしまうシーン。その、ガソリンぽい油が、ある事故によりタンクローリーから噴き出してしまい、おじさんが乗っていた車を襲うんですけれど、そのガソリンぽい油の色がですね、ほぼ透明なんですけれど、少しだけ赤色が入ってたんです。色水みたいに。
私は、どちらかと言うと邦画を観る方で、洋画は余り詳しくないんですね。だから、外国の風景も見慣れていませんで、最初はタンクローリーも、タンクローリーと理解出来ていなかったんです。「黄色くて大きな、多分工事用とかの特殊な車」ぐらいの認識で。そこから事故により、ほんのり赤っぽい透明の液体が噴き出して、車窓を開けていたおじさんを襲うシーンが始まるんですけれど、まだその時の私は、その液体が油とは気付かないまま観賞していました。色がとても似ていたので、グレープフルーツジュースかなって。
あの、果肉が赤い方の。
物凄く似てたんです。
「じゃああの車はジュース屋さん……? 車体えらいゴツない……?」
画面上は緊張が加速し、不穏な空気が垂れ込み始めるんですけれど、観ている私はその危険性が全く理解出来ていないので、「開けていた窓から、突如グレープフルーツジュースが洪水のように流れ込み苦しんでいるおじさんの図」になってしまっています。ちんぷんかんぷん、と言いますか、何でこんなシーンを、そんなシリアスな撮り方と音楽で演出してるんだろうと、かなり怪訝な顔で観ていました。
有名なホラーだと聞いて、観ようと思った筈なのに。アメリカではこれを、ホラーと呼ぶのだろうか。ホラー? ホラー……って、何なのだろう。確かこの映画の音楽を担当した人は、アカデミー賞を受賞したと聞いたけれど、こう、コメディを音楽により、シリアスに演出するのが物凄く評価されたのだろうか……?
なんて思考を巡らせている間に、グレープフルーツジュース(多分)は路上にも溢れ、ポイ捨てされていた煙草により引火し、おじさんが乗っていた車を、爆発四散させていまいました。そこでやっと、グレープフルーツジュース(多分)はグレープフルーツジュースではなく、何らかの引火性の液体だと気付いた訳です。一緒に観ていた末の弟は、最初から油だと気付いて観ていたそうですが、私にはグレープフルーツジュースにしか見ませんでした。んな訳無いじゃんと、大笑いされましたけれど。いきなりこんな勘違いをかましてしまいましたので、もうそこから先の内容が、頭に入らない入らない……。
この冒頭の勘違いが強烈過ぎて、その先も何だか笑って観ちゃうんですよ。ここから先は末の弟にも言わなかったんですけれど、悪魔の子であるダミアンが、常にメンチを切っているような非常に険しい人相をしているので、心の中で「メンチ坊や」と勝手に名付け、登場する度に「メンチ坊やや」、「おっ、メンチ坊やのシーンですね」と心の中から茶々を入れてしまい、あんまり怖くありませんでした。いや、単に、鑑賞する私の態度が悪かっただけなんですけれどね。観て欲しいなあ、あの冒頭の事故のシーン。絶対、グレープフルーツジュースに見えますから!
あと昨日は、1978年の邦画、『野性の証明』も観ました。こちらは何の勘違いもせず観れまして、主演の高倉健がカッコよかったですね。1970年代に重なっていたのは、偶然です。
……なんて下らない話を書いている間にもう21時40分! 昨日は眠かったのと映画を観ていて、1,000文字ぐらいしかカクヨムコン用書けてないんですよね。今日もそんな感じになりそうです。
では今回は、この辺で!
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