第35話あらかせぎしてますね
ロイオ「なんだ……あのむさ苦しい集まりは?」
街に戻ってきてまず目についたのは、厳つい顔でガチムチマッチョな漢たちが広場に集まって、誰かを取り囲んでいる光景だった。
???「さぁさぁ! 寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」
ねこねこ「あれ、この声……」
若干の疑いはあったものの、ねこねこと共に広場に向かう。
俺たちの様子に顔を見合わせた後、オブとセアラも首を傾げながらついてくる。
山田「昨日、冒険者百人斬りを果たした最強狂戦士、ゼウスへの腕試しバトル! 腕に覚えのある人は立ち合ってみようぜ! 一回、千ウルズだ!」
ゼウス「……」
呼び込みしてるバカがいた。
腕組んで目を閉じてる殺人鬼がいた。
山田の方は街中だからちゃんと服着てる。新しい茶色っぽいの。ただ、胸元は露出してるけど。誰得?
まあいい。問題はゼウスだ。新装備貰ってるはずなのに、初期装備のままだ。
ねこねこ「おーい! やーまーだー!」
客を捕まえた山田はお金を貰って、ねこねこの呼びかけに応じた。
山田「お、戻ったか。二人ともお疲れ!」
ねこねこ「ねぇ、これなにやってんの?」
山田「あー、これな。資金集め」
ロイオ「おいバカ山田、ゼウスさんはなんで初期装備のままなんだ?」
山田「見てりゃわかるって」
顎でそう促す山田に従い、俺たち四人はなにやら眉間にシワを寄せているマッチョの群れを掻い潜り前の方に出た。
背中の大剣をマッチョが構えるけど、ゼウスさんは退屈そうに首を解す。
ポキッと音を奏でると閉じていた目を開けて腰に携えたひのきのぼうに左肘をついた。
ゼウス「……今度はお前か?」
「すかしやがって! うおぉぉ!」
ゼウス「ふん……」
「なっ! 片手で!?」
右手で大剣を受け止めたゼウスさんに対峙した男も観客も全員が唖然とした。
ゼウスさんは、つまらなそうに大剣を離すとその拳で男の顔面を殴り、鼻が潰れたような音が俺の耳に届いた。
結果、頭から地面に叩きつけられ、めり込んだ大男。気を失ったのか、ピクリとも動かない。
一撃で地面に沈んだ男の足を引っ張って、めり込んだ顔を出させた最強さん。
ゼウス「雑魚が。そこのバカでも、俺に武器は使わせるぞ?」
山田「おおーなんという上から目線……はい! しゅーりょー! 次の挑戦者の方はー?」
次、やんのか……? やれるのか?
流石にこんなの見せられたら、戦意もなくなるぞ普通……。
一般ピーポーじゃあどうやっても勝てねぇぞ、あの人には。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます