風と意識

眠る事を放棄して

夜と夜遊びをした

今の私に寄り添うのは

夜 貴方しかいないの

夜は私を包み込む

夜は日が出ていても部屋に住みつく

ずっと一緒

私たちは離れられない


でも夜と一緒にいても

誰かと一緒にいても

私は独りぼっち

ずっと独り

誰も私を抱きしめない

夜でさえも虚像の私を抱きしめて

本当の私は存在していないかのよう

ああ孤独 嫌いな孤独

私は孤独にさらわれる

孤独の風が吹いて

風に意識がさらわれていく


助けて!

私が消えてしまう!

本当の私が!


とめどなく溢れる涙

手首につけた傷に唇で触れて

同じ方向に入った線の感触を感じる

産声 光 音楽 笑い声

二人の怒鳴り合いは隣の部屋

私の泣き声がこの部屋で

私の中に収められていく泣き声

わたしなにもわるくない

わたしなにもわるくない

わたしは ただ うまれてきただけ

わたしは わたしを あいしてほしいのに

こんなに孤独なのは

お前らのせいだ!


強い風

家中の隙間を抜けて

扉や窓をガタガタさせる

私の孤独の心を

私の分かれた意識を

強い風がさらっていく


少女の意識が

地上に向かって手を伸ばす


地上の人々には

その姿が見えなかった


見えている者も

手を差し伸べなかった

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