遠くの視点

夜酔 海鶴

闇のベッド

交わり合った

君と私の人生

永遠ではない

交差点の上に

ずっといたい

そう思ったの

でも知ってる


私は君の恋人ではない

私は君の恋人に成れない

私は君の運命の人ではない

私は君の好みではない


わざわざ君が言ってくれた

私を本気では好きじゃないと


私は優しい子だから

君を嫌いなフリをした

私は優しい子だから

純粋な恋をしてみせた


でもごめんね

全部嘘だった


今でも君が

私の頭に

記憶に

神経に

遺伝子に

貼り付いて

染み付いて

引きちぎれないの


君が私の生きる全てだったから

君は私の唯一の神様だったから


でも君は神様なんかじゃないよ

君は私の本当を知らない

君は私の皮だけ見てる

もう君は私を軽く見た

君は私の本当を知らない

君は私が優しいと思ってる


違う

違うよ


君は私だけのもの

君は私の運命の人

君は私の恋人になる人

私は君の種を入れて

君との子どもを此処に宿して

君と一緒にずっと暮らす

君も私の事 好きでしょ

君も私の子 欲しいでしょ

嫌なんて言わせないよ

もし嫌というなら

君のもの全部

身体ごと全部ちょうだい

そうじゃなければ

私は私を捨てて

私を新たに作って

君が見たこともない

私の本当をさらけ出すよ

もう二度と皮も再生出来ないほどに

私は君に反発して

社会からも弾き出されて

そうして生きるよ


こんなにも汚い

もっと汚い

私の心なんて知らずに

君は私を傷つけた

私は笑った

君に悲しみが伝わらないように

君に心の返り血が飛ばないように


私のむき出しの心を見て

君が私の本当を知った時

もう私は君の方に嵌らない

規格外の私になっている


私は冷たい子

君の冷たい言葉


冷たい涙が流れる

闇の冷たいベッドに沈む私の体

指先から冷たくなる

布団の中は冷たい海の底

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