第6話 このえは うまを てにいれた

 さて、街に向かうにしろなににしろまず必要なのは道を知ることである。


「さて、システム君、どのように街に行くのが一番手っ取り早いか説明し給え」

『何故そんなに高圧的なのか理解しかねますが、一番効率がいいのは何者かに襲われている商人及び馬車を保有する貴族を助け、その恩返しに街に入れてもらう、だと思われます。』

「そう簡単に襲われる商人がいて堪るか」

『むぅ...次に効率がいいのが正直に門番に話し、入れてもらう方法です。』

「システム君割と人間味あるんだねぇ。ま、その案を採用しよう」

『それがいいでしょう。』


 そもそも街に入る際に何か必要なのか?システム君はそんな感じで喋っていたが。


「システム君、街に入る際には何か必要になるのか?」

『自分の身分を証明する物品、市民証や冒険者カードなど、そういったものが必要となります。』


 ならば言い訳はそのカードをなくしてしまったとか?設定は冒険者兼旅人がいいだろう、だがどうやってなくす?

 今の俺は武装をしていない。つまり野営をしているうちに盗まれてしまった?

 いや、それなら何故殺されていない?


 最適なのは旅で襲われたところを襲われて逃げてきた旅人兼冒険者といったところか?


 今の自分の服装を見る。

 完全にジャージ姿である。これで旅をしているといわれても説得力は無きに等しいだろう。

 俺は【異界防衛術召喚】にて緑色のポンチョと申し訳程度の皮鎧を召喚する。


「今時地球に皮鎧なんてあるんかね」

『異界防衛術召喚の異界は地球に限らず、様々な世界が挙げられるので一概に地球の物とは呼べない物もあります。』


 そういうやり取りをしている間に装着が完了した。


「武器は不要かな」

『かなりステータスが上がっていますから最早武器の方が耐え切れないでしょう』


 因みにステータスが上がった感覚は、出せる力の上限が増えたという程度の感覚であり、日常生活に異常はきたさない。


「ま、銃を撃つより手っ取り早いからね」


「さてシステム君、最寄の街は何処かね?」

『直線距離であれば左に90度向いた方向にあります。

大体100キロはあるかと』

「んー、遠い」

『ここで一つ提案です。全力で幅跳びする感覚で跳んでください』

「嫌な予感しかしないから却下」

『残念です』


 お前は俺に何を望んでいるんだシステム君。

 大体今のステータスでそんなことやったら物凄い距離跳んでしまうのではないか?

 絶対狙ってやってる気がする。俺は芸人じゃない。


 今の自分の服装を見る。設定通りだが、襲撃されたにしては綺麗な服装ではないか。

 そうだ汚そう。


 俺はそこら辺の地面を転げ回りのた打ち回り、跳ね回った。

 予想より汚くなってしまったがいいだろう。恐らく許容範囲内だ。


 とはいえ100キロも歩いていくのもさすがに骨が折れる。

 どうするか...

 

「そうだ、馬型のホムンクルスを作ろう。」

『魂を込めないと動きませんよ?』

「そこは、ほら。システム君入れないの?」

『可能ですが...まぁいいでしょう。』


 ならばイメージするのは威圧感強そうな感じの強そうな黒い馬


「【人体作成】」


 実際に出てきたのは黒い体に燃えるように赤い鬣の王者の雰囲気を漂わせた見るからに強そうな馬。

 しかし抜け殻である。


「システム君はいって」

『入りました』

「馬の口から喋るわけではないのか」


 システムくんに乗る。

 乗りごごちはなかなかの物―あ、ちょっと勝手に走り出さないで―だが滅茶苦茶速い。


「なぁシステム君、俺たち木に衝突しまくってる気がするんだが?」

『透過の魔法を使用しているため問題ありません』

「参考程度にどのくらい出てる?」

『時速120㎞程です。』

「その割にはあまり負荷を感じないが?」

『ステータスの防御力はバランス感覚や頑丈さ、踏ん張る力―なんていうのか忘れましたが―を上げてくれるんです。』

「そうなのかい」


 つまり某超野菜の人のなんなんだ今のはみたいなのができるわけだ。

 ...普通に強くない?

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