第34話 動物園へ行こう!

 顔の知らない友達数人と、バスで動物園に向かっていた。

 目的地に一番近いバス亭で降りると、立て看板で道を確認する。ここから一直線だったか、近道はあるのか。

 ああだこうだ話している横で、白ワンピースの友達が言った。

「バスってバス亭で停まるんですね。はじめて知りました」

 彼女らしい丁寧な言葉で感心するようすに、ちょっと空気が固まった。でも皆すぐに「うん、そうなんだよ」と笑顔で頷いた。

 彼女はアンドロイドだから、乗るバスといえばガソリンスタンドで乗り降りする乗り物だ。彼女とは同じ女子寮で生活している友達だけど、人間とアンドロイドの生活の違いをひさしぶりに感じた。

 でも。そんなことはどうでもいい。

 ここにいる全員が「友達と行くピクニック」ははじめてなのだ。うきうきしているのは同じ。

「よし。じゃああっち! 出発!」

 弾むようにアンドロイドの彼女も笑った。

「行きましょ!」


 ここで目が覚めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る