第40話 文通?鳩通?〜ベルギウスとの秘密の文通。もし彼に会えたら…〜


 私は城を抜け出したせいで、しばらくは部屋から出るなとの王命が下った。


 エステルが厳しく見張っている。


 もう、抜け出したりしないのに…



 はぁ、息苦しい。


 いつまでじっとしてないといけないのかなぁ。


 暇だし、ベルギウスがくれた鳩に手紙をつけて送ってみよう。


 本当にちゃんと届くのかな。



 この異世界では、魔術は現実世界よりもずっと進んでいたけど、文明的なものは何百年も遅れている。


 現実世界なら、ぱっとメールで文章をおくれるのに、鳩だよ?!


 不思議な気分。



「お久しぶり。お元気?私は無事にコルネリアに帰ってきました。


 レオンハルトの森へ行ったのがお父様にバレてしまって大目玉で大変。


 しばらくは部屋から出れなさそうなの。


 そちらは変わりはありませんか?シルヴィオ様もおかわりなし?」



 鈴木さんにはバレてないと思うけど、念のため様子を探ってみた。



 次の日、ちゃんと鳩が戻ってきた。


 足にはちゃんと、返事の手紙がついている。


 メールよりは遅いけど、鳩って優秀なのね!



「手紙をありがとう!僕たちは楽しく過ごしているよ。


 この前は、シルヴィオが洋服を買って来いって言うから、街で一番ダサいのを買ってみたんだ。


 そしたら真顔で悩んでて、ちょっと笑っちゃったよ。


 僕もお金がなかったから仕方なかったんだけど、狩に出て強くなったら、もっと良いのを買うことにしてるんだ。」


 ベルギウスの手紙には肝心なことは書かれていなかったけど、正直に


 「シルヴィオが、私が誰かに似てるとか、会ったことがあるとか言ってた?」


 なんて書いたらおかしいと思われるし、これ以上の回答は見込めないな。

 


 でも、返事がくると嬉しくて楽しくて、つい返事を書いてしまう。


「今日は、フローマーと森へ出かけたんだけど、マタタビって植物知ってる?


 猫が酔っ払ってしまう不思議な植物があるんだけど、フローマーが酔っ払ってしまって、大変だったんだよ!


 もうフラフラで、あの巨大な猫を家まで連れて行くのがどれだけ大変だったか!


 今にして思えば笑話だけどさ。


 君にも酔っ払ったフローマーを見せてあげたかったよ笑」


 ベルギウスの手紙はとても楽しそう。


「シルビィオと一緒に狩りを続けて、実戦での魔法の使い方にかなり慣れてきたよ。


 やっぱり練習とは緊張感が違うからね。

 

 狩りで儲けたお金で馬も買って、遠いところにも狩に出かけるようになった。


 町人が困ってるモンスターを最近では倒してるから、みんなに感謝されて、やり甲斐を感じてる。


 最近では、僕たち少し有名になったんだよ。


 君のところでモンスターに困ってない?いつでも倒しに行くよ。」



 なんかモンスターいないかな。そしたらベルギウスに会えるのにな…。

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