七月八日

 たとえば僕が こんなことを考えたとする


 天使よ 悪魔よ あらゆる罵倒 あるいはそれに準ずることばどもを

 すべて笑いに変えるような そんな薬を与えてくれ


 そう言いかけたところで止まる 誰かの声によって

 どこにいるかもわからない 頼りなさげな声だった


 いまお前が考えていることは いつか誰かに全部知られてしまう

 その前に できることはなるべくやっておくべきだと


 ここまでかな 僕が考えたのは

 僕は自身でその意味をいまいちはかりかねたが うわべだけでも飲み込むことに


 さて 何をすればいい? 僕は頭の中でぼんやりとだけ考える

 薄い雲みたいだった たとえようもないくらい白くて すぐ消えてしまいそうな


 青い空が いよいよ赤く染まる頃 いつもみたいに笑いたい 心の中で


 消えたことばたち このまま葬られていくのか 電子の海の中に


 復活の呪文 それはあまりにも遠い夢のようで


 どこまでも儚い 声にもならない声

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る