第六十一話 参集 その2

 俊の問いかけに対し誰も挙手するものは居なかった。招集された者たちは俊と関わることによって何かしら恩恵をもたらされた者たちが多かったからであろうと推測できる。

 「ご協力ありがとうございます。それでは僭越ながらこちらで各担当を決めましたので発表いたします。名前が読み上げられましたら起立していただき、簡単な自己紹介も合わせてして頂ければなと思います。では、オシント担当は山下と清水」

 山下と眼鏡を掛けた1年生女子が立ち上がった。

 「まずは僕からでいいよね?どうも山下です。ネットなどから情報収集するのが得意です。1年のときから小野寺君と組んで情報収集活動をしてました。1年のときはC組、現在は2年E組です。1年2年といじめのあるクラスでしたが、小野寺君をサポートして解決に導きました。以上です。宜しくお願いいたします」

 山下の自己紹介が終わると、1年生女子が口を開いた。

 「初めまして清水です。美術部です。絵の参考になる画像を沢山検索するのですが、それのお陰か画像検索とか地図検索とかが得意になりました。小野寺先輩とはネット経由で知り合いました。宜しくお願いいたします」

 2人の自己紹介が終わると、俊は次の担当者を指名する。

 「次はヒューミント担当、石光、青木、補助で藤原」

 指名された三人が立つと、一番最初に石光が口を開いた。

 「じゃ私が先駆けで。石光です、俊君と同じ2年E組です。いじめられそうなところを俊君に助けてもらいました。おそらくこの時に人数不足を感じで今回の組織化につながったのだと思います。この中では一番の新参者ですが、ヒューミントについては手取り足取り俊君に教わっていますので皆様に貢献できるよう一層奮励努力したいと思います。以上です」

 石光が一礼して着席すると、近くにいた藤原が口を開いた。

 「小野寺と同じクラスの藤原です。1年2年とも小野寺とは敵対している側にいました。今は小野寺に情報提供をしてます。ヒューミント?はよくわかりませんが、何かしらよくない情報が俺のところに入ってくるので、そこを見込まれたのかなと思ってます。特技は空手とか格闘技です。以上です」

 藤原が着席すると、1年生女子が自己紹介を始める。

 「初めまして青木です。部活は陸上部です。小野寺先輩とはもともと父親同士が同僚なので小さいころから面識があり、中学時代は引っ込み思案で勉強も得意ではなかったのですが小野寺先輩のお陰で色々と変われました。高校に入ってから友人も多くなり、その交友関係の広さを買われたのかなと思います。以上です。宜しくお願いいたします」

 青木の自己紹介が終わると、山下はあわあわしていた。

 (幼馴染属性とか……これ絶対石光さんと小野寺君の取り合いを始める地獄絵図じゃん……。おそらく2年担当を石光さん、1年担当を青木さんにしたいんだろうけど、絶対危ないよ、これ。でも背に腹を代えられなかったのかな?身近で信用できて一番効果を発揮するということになるとこういう人選になるのかな……?)

 そんな山下の心配を尻目に俊は担当の発表を続ける。

 「渉外担当は皆さんもご存知の生徒会長」

 「ご紹介に預かりました2年A組の明石です。生徒会長をさせていただいております。生徒会ってフィクションのように特別な権限はなく、生徒と教師の間の調整役であったり、他校の生徒会と活動をしたりなので交渉役としてはそれなりに活躍できるかと思います。小野寺君にはお世話になりっぱなしなところがあるかな。選挙では色々と情報提供や工作をしてくれたし、他校との外務の前には事前に色々な情報を入れてくれたり、交渉術の手法なども習っているし、言い出したらキリがないね。渉外担当として頑張っていきたいと思います」

 生徒会長の自己紹介が終わると少しざわついていた。選挙での工作って何?他校の情報まで?などヒソヒソと話しているのが聞こえる。

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