相変わらずの田舎者

でかい…。僕の矮小な脳みそでは受け止めきれないほどにでかかった。頭の中のあちこちが飛び上がって歓声を上げている気がする。僕が住んでいる何の変哲もない古びた小さな田舎町では一生かかっても見られないであろう光景を僕はあ然としてと眺めていた。


『北野天満宮』一生かかっても見られないはずだったそれは高校2年生で見られた。幸運だ。電車を何本も乗り継いできたかいがあるというものだ。5分ほどぼんやりとしていた僕は人の流れに沿って中に入った。人。人。人。たくさんの人をかき分けて前へと進む。神社といえばまず何をするだろうか。前にいる人について行くと手水舎に着いた。あぁ、そうだ手を清めるんだ。周りを見ながら手順に沿っていく。いよいよ、お参りだ。5円はあったかなぁ。財布の中をくまなく探す。5円は…………あった!奇跡だ。僕の財布に5円があるなんて一年に何回あるだろうか。良かった良かった。もう少しだ。ウキウキと自分の番を待つ。ああ、次だ。次だ。次だ。えーっと、なんだか前の人がながいような気がしなくもないがまぁいい。よし!あれ?神社は二礼二拍手二礼だったか?いや、一礼二拍手一礼だっただろうか。覚えていない。幼い頃父に教えてもらった気がするが全く覚えていなかった。ちらりと横で参拝している人を見る。チラッ うーん……チラッ んー?よしもう1回!チラッ …………怖!?いや、ちょっとさ横を見てたらサングラスかけた革ジャンのいかつい奴がいたんだ。そして睨まれた。やべえ、怖い。僕は願い事も早々にその場を逃げるように去った。あぁ、ごめんなさい。人を見てなんとなくで参拝しようとしたから神様がバチを当てたんだろうか。ごめんなさい神様!


で、思ったんだけどおみくじも引いてなければお守りも買えていない。ついてなさすぎる。日頃の行いは結構気を付けてるのに!


「ん?あれ?…………ここ何処だ?」


そして帰りに迷子になった。

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