ペルソナ~心を失った少年~

ユウ

第一章

第1話


 ――――毎日が退屈だった。


 朝目覚めると、食事の支度をして学校へ行き

 学校から帰ると、また食事して、風呂に入って寝るだけ。


 そんな生活の繰り返し。

 僕に両親はいなかった。

 ある時両親が大げんかして、母は家を飛び出し事故にあって

 そのまま帰らなかった。

 父はその後、理由を告げず蒸発した。

 朝起きた時には、もう父親の姿はなかった。


 僕はそんな2人が許せなかった。

 家に帰ると喧嘩ばかり。

 そんな姿を傍から見てたよ。


 だから、かえって良かったのかもしれない。

 騒音から解放されて静かに過ごせる。


 テレビからは、通り魔事件があったとの内容が流れてくる。

 世の中腐ってる。


 僕はこんな世の中が嫌いだった。

 みんな死んでしまえばいいのに。


 人間なんていっそいなくなってしまえば

 世界は平和になる。


 誰もがみんな自分のことしか考えていない。

 両親だって好き勝手に僕を生み

 勝手に僕を捨てた。

 

 この世に救いなんてない。

 みんな死んでしまえ――――



 ――――ペルソナ~心を失った少年~



 僕の名前は桐原隼人。


 人間嫌いで、できることなら誰ともかかわりたくないと思っている。

 だけど、人付き合いが下手というわけでもなかった。


 話しかけられれば応じるし

 みんなの笑いを取ることもしばしば。

 だけど、心の底から友達と呼べる人はいなかった。

 僕は気付いていなかった、それがペルソナの力だということを。


 家に帰ればどっと疲れ、倒れこむように眠った。

 自分でもよくわからないけど、外に出ると必要以上に疲れを感じる。


 そんなあるときだった。

 街外れに廃墟があるという噂を耳にする。

 何でもそこの主人だった人間が自殺し、怨霊となって毎晩徘徊しているとか。


「隼人、今日の帰りだぞ、忘れるな、皆行くのにお前ひとり来ないとかないよな」


 乱暴な言葉で僕を誘うこの人は、これでもクラスでは人気があった。

 僕には断る理由が見つからなかった。

 だから、頷いた――――

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