第2章_3 気になる人


ショーが無事終わり、打ち上げが始まった


案の定、モデルの女の子達に群がる男性社員




遠目で見ていた俺に例の人形がまた近付いてきた



「お疲れ様です」


「お疲れ様」


「あちらで飲まないんですか?」


「俺はいいです」



「そうですか……あの、私のこと嫌いですか?」


「はぁ?いきなり、何ですか?」



こいつ、やっぱりすっげぇプライド高い。

俺が興味ないのが気に入らないんだな



「いえ、私と話すのが不愉快そうだったので」


「そんなことありませんよ」


「そうですか…」



「部長はご結婚されてないんですね?」


「はい」


何だよ、いろいろ聞いてくんなぁ


「そうなんですね」



会話したのはそれだけ。

理子の第一印象あまりいいものではなかった




ただ、俺を真っ直ぐに見た彼女の瞳が今まで誰にも見せていなかった心の奥の部分を見透かされそうで……


少し焦る気がしてた





アメリカ帰りで異例の大出世をした部長


どんな人なんだろう

興味があった


なかなかのイケメン


笑ってるのにどこか淋しげな目をする彼のことが気になった



それに、大概の男達が寄ってくるのに

あの人、畑野部長だけは違った


どちらかというと避けられてる感じもした





打ち上げが終わり、帰ろうとした時、数人の社員の人に声をかけられた


「望月さん、この後どうですか?」


「いえ、私は失礼します」


「いいじゃないですかぁ」


いきなり、肩に手を回された


「離してください」



大きな声を出した途端、後ろから足音が?

……と思ったらその男の腕を掴みあげた


ふらついた私を支えてくれ、自分の後ろに隠すように引っ張ってくれた



一瞬のことで頭がついていかなかったが

私の目の前には大きな背中が広がってた




「望月さん、お疲れのようだし、今度にしたらどうかな?」


その声の主はさっきから気になってた畑野部長


「部長、あっそうですね。失礼します」


男達はそそくさと去っていった




「大丈夫ですか?あいつら、かなり飲んでたみたいで」


「大丈夫です。慣れてますから」


「ふっ、そうですよね」



頭を下げて、背筋を伸ばしてスタスタと歩いていく彼女


偉そうに…。




掴んだ手が震えていたこと、

わかったよ



あんな風に強がってるけどほんとは……



颯爽と去っていく理子のこと、しばらく眺めてた

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