望みを託す
頬伝いに落ちた雫が作る波紋がひとつ。色を失くした諦観の残滓が、水面の凪を壊して波を立てた。夜の水族館に満ちる静寂のように、孤独な音はまっすぐに突き抜けて対岸の花を揺らした。蛍に似た光の粒が霧散して、微かに泉は煌めく。しかし一瞬の賑やかしを見せて、水面はすぐに三日月を映し返すだけに戻る。手の届かない中ほどにスポットライトを残すようにして、畔はまたしんとした薄闇へと沈んだ。
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