身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。
47.『ズズン』と音を立ててゴーレムは倒れた。
47.『ズズン』と音を立ててゴーレムは倒れた。
自称従兄弟の握っている木材は未だに紅く輝いている。
「えっ?えっ?」
ゴーレムを打ち倒した、ご本人は何か困惑している様だった。まるで、予想外にゴーレムが簡単に倒れてしまったという風に。というか、その木材に帯びている紅く輝く光は何だ?まるで、アニメ漫画に出てくる魔法の剣の様だぞ。
「やったな。千歳ちゃん。」
「は、はい。ええっと、やりました・・・。やってしまったみたいです・・・。」
「所で、その木材が紅く光ってるの、何?」
「し、知りません・・・!こんなの、知らないです。無我夢中にあいつを叩いたら、この棒切れが勝手に光り出して・・・!。」
自称従兄弟はガクガク震えていった。
どうやら、自分でも、何故木材が光ってるのかわからないらしい。
「えと、お兄さん、私、本当に知らないんです。この光りの事、今まで生活してきて、こんな光ってるのなんて無かった。」
自称従兄弟は自身から出た、預かり知らぬ目の前の光りについて、狼狽している様だった。
その光りは明らかに、木材や石片で叩いてもビクともしなかったゴーレムの頭部を破裂させた原因なのだが、それは一体何なのか?いや、そもそも、あのゴーレムも一体何なのか?良くわからない、良くわからないが、ともかくは。
「良くやったぞ、千歳ちゃん!助かった。」
と言って、自称従兄弟の頭をゆっくり撫でて、セクハラをしてやった。
「ひゃっ・・・ええっと・・・有り難うございます。」
自称従兄弟は僕のセクハラにただ身を委ねてくれた。
「・・・本当に何なんだろうね?千歳さんの光りやこの、石の一つ目小僧・・・?とか。」
自称妹は自称従兄弟の木材の光りやゴーレムを見比べて困惑そうに腕を組む。
石の一つ目小僧・・・って・・・僕は自称妹のネーミングセンスに笑みを堪えつつ、この二つの謎について考える。
考えたのだが、
「あの、お兄さん、私、本当にどうしちゃったんでしょう?こんな光りを出すなんて・・・。本当に私、どうしちゃったのか・・・。」
自称従兄弟は不安げに僕を見る。
どうやら、自分の身に起きた不可思議な事に不安を感じているらしい。
「不思議な事だけど、まあ、良いじゃないか。不思議な事が起きたのは、今に始まった事じゃないし。君らが一目から見えないのもそうじゃないか。考えても分からないものは放っておこう。」
と僕は励ましてやった。
かなり良い加減な励まし方だが。
「そ、そうですね!不思議な事は今に始まった事じゃ有りませんし、気にしないでおきましょう!」
「そうだそうだ!気にするな!はははは!」
「そうですね!おほほほ!」
「あははは!」
「おほほほ!」
「え、えっと、あはっ、あはあははは!」
僕と自称従兄弟が突然笑いだしたので自称妹も空気を読んだのか笑いだした。
僕らはとりあえず三人で笑いあった。
「さて、千歳ちゃん、その木材から出ている光り、そろそろ消しても良いんじゃないか?もう襲ってくる奴は居ないし」
ひとしきり笑いあった後、光りの始末について聞いてみた。
「そう言われましても。どうやって消すのか分かりません。何しろ、この棒切れが光り出したのも、私の意思ではありませんから」
自称従兄弟は困った様に答えた。
「じゃあ、消えてくれと念じれば良いんじゃないかな?きっと消えるよ。」
「ええ?超能力か何かじゃあるまいし・・・分かりました。とりあえず念じてみます」
「むむむ・・・収まれ収まれ、私の光り・・・」
いや、念じるだけで良くて、喋る必要は無いが。
自称従兄弟が念仏まで唱えたせいか、光りはあっさり消えた。
「おおー!消えましたよ!お兄さん!消えましたよ!」
「うーん!消えたね、素晴らしい。」
僕は素直に誉めてやった。
「ねえ、念じて消えるという事は、光れと念じたら光るのかな?」
僕らの様子を観察していた自称妹は面白い提案をした。
「ええ・・・?どうでしょうかね?とりあえずやってみましょう。光れー!我が剣よー!」
ノリノリである。
棒切れは自称従兄弟の思いに答えて、勢い良く、紅く光りだした。
「ひええー!本当に光った!」
「すごーい!本当に光った!!千歳さん、超能力者みたいだね!」
「超能力者なんて・・・!千尋さんこそ、ご慧眼です!」
「えっ!?。それほどでも・・・でへへ・・・。」
二人で微笑ましく笑っている。朗らかな事で良い事だ。
「ともかくもまあ、その光りの後始末についてはカタがついたな。さて、そっちのゴーレムの事だけど、これもこのまま放置する訳には・・・」
ゴーレムの方を見ると、ゴーレムは全身が緩やかに発光し、さらさら砂の様にその身体が消えていっている様だった。
「放置で良いみたいだ。」
「だねー。」
「手間がかからなくて助かりますねー。」
二人ももう不思議な事は慣れたとばかりに冷静に同意した。
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