34.「なんだい?千尋ちゃん」
むくれた顔で僕を睨む自称妹に恐る恐る聞いてみる。
「お兄ちゃん、千歳さんとばかりお話して・・・私にも構ってよ・・・!」
ぷるぷる震えた手で僕にコントローラーを差し出している。ゲームをやれという事か。
「ああ、いいよ。千歳ちゃん、ちょいとこいつとゲームして良い?千尋ちゃんが来て以来、一緒にゲームをするのが余暇の過ごし方なんだ。何なら千歳ちゃんもゲームするか?千歳ちゃんはゲームする派?」
「ごめんなさい、私、ゲームは全然。」
申し訳無さそうに千歳ちゃんは言った。
スポーツ少女はゲームはさっぱりらしい。
「私は傍で見ていますね」
自称従兄弟は遠慮するかの様に言った。
「お兄ちゃん、やろうよ。」
自称妹は続けて僕を誘う。
肢体を僕の腕に絡めて強引に誘う。
「分かった分かった。」
僕は自称妹のゲームにつきあってやる事にした。
・
・
・
「ぐええー。また負けたー。」
「君の動きは分かりやすいもんなあ」
「素人目だけど、千尋さん、動きが単調というか、フェイントとかしないし・・・全部お兄さんに捌かれていましたもんね。」
格ゲーをいくつかやって感じた事は自称妹は格ゲーがめちゃくちゃ弱いという事だ。
「だって、私がやろうとした行動を操作キャラがしてくれないもん」
とは自称妹の言。
まあ、格ゲーというのはそのキャラごとのコマンドを覚えなきゃいけないものだから。
しかしその変わり
「良いもん。お兄ちゃんFPSゲームしようよ」
と言って自称妹は奥からもう一台のゲーム機とテレビを持ってきた。
そのゲーム機とテレビは自称妹と一人プレイ用ゲームをオンラインプレイで一緒にやる為に買ったものだ。
「いいよ。やろうか」
僕は快諾した。
ゲーム機をテレビに繋ぎ自称妹はゲームを始める。やるのはFPSゲームだ。
僕と自称妹はタッグを組んで他のオンラインプレイヤー達がやっているゲームに混じる。
自称妹はサクサクと他のオンラインプレイヤーを射撃し撃ち倒してゆく。
「・・・・・・」
自称妹は黙々と他のプレイヤーを狩っていく。
自称妹は格ゲーは苦手だが、FPSゲームになると、モリモリ強い。そこら辺のゲーマーよりずっと強いだろう。
何でもFPSゲームは操作が素直で敵に待ち構えといる所は避け敵に当てるだけで良いからやり易いそうだ。
何とも感覚的なもので全く参考にならない。
「やるもんだな。千尋ちゃん。」
「えへ、そうかな?」
「やるじゃないか。また順位はトップだ」
「そうだね。ふふふ・・・」
誉められて照れてるのかニマニマと微笑む自称妹。
「さっきの『かくげー?』をやってる時より全然動きが違いますもんねえ」
素人の自称従兄弟も目をパチパチとしながら驚いてる。
「プロゲーマーでも目指すか?」
「いやあ、そこまででもないよ。でへへ・・・」
自称妹は顔が緩みっぱなしだ(緩んだ顔でまた一人キルするんだ)
何であれ特技がある事は良い事だ。
その後は暫く三人でだらだら過ごすのであった。
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