水中のセピアの錆は、何色だ。

 手を伸ばしても、届かないものがやっぱりあって、月に触れようとしているのと、全く同じことだと気が付いた。月の隣で寄り添っている星は近い存在だと思ってたのに、何万光年も離れていた。それでも……それでも何度も計算して、月の方が太陽よりも近いことを確認し、一人納得していく。本当は、違うのに。どれほど近くても、触れられなきゃどうでもいいじゃん。考えないようにしていたことを思い出し、月明かりに照らされ、眠りに陥ちる。私は、ここのいる。


 何度考えても、私は春が好きみたい。


 程よく、心地よく、夜風に揺らされて

 欠伸が出ては、弾けていく

 桜は、いつまで私を待ってくれるか

 どれほど聞いても、天気しか知らぬ

 私は、待っています

 朋想う気持ちで、待ってます。


 ただ、それだけのこと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る